【森田さんは無口】雑誌と単行本を見比べて分かったカラー原稿のモノクロ原稿化
『森田さんは無口』の単行本9巻と連載誌(まんがライフMOMO、まんがくらぶ)を見比べ、今さらながらに気付きました。雑誌にはカラー原稿だった回がありますが、単行本ではモノクロ印刷用に全部変更されているではありませんか! 単にカラー原稿をグレースケール変換してモノクロ印刷するというレベルではありません。カラーの1コマ1コマがモノクロ印刷用にアレンジされているのです。
見比べた雑誌2冊と単行本9巻
雑誌でカラー原稿だった回が単行本ではモノクロ原稿に変更されている
「森田さんは無口」は竹書房の下記3誌で連載しています。
- まんがライフMOMO(月刊・4コマ誌)
- まんがくらぶ(月刊・4コマ誌)
- まんがライフSTORIA(隔月刊・ショートストーリー誌)
単行本9巻に収録されているのは「まんがライフMOMO」2013年12月号~2014年7月号と「まんがくらぶ」2013年12月号~2014年7月号に掲載された回です。それらの雑誌をざっとチェックしてみたら、フルカラーが1回、2色カラーが数回ありました。
カラー原稿回は、単行本では全てモノクロ印刷になっているのですが、よく見ると1コマ1コマがモノクロ原稿に変更されているのです。言葉では説明が難しいので、具体例を見てもらえれば一目瞭然です。
フルカラー原稿をモノクロ原稿化
「まんがライフMOMO」2014年7月号はフルカラー(センターカラー)でした。 ここでは例として2コマ取り上げます。ご覧のとおり、単純なグレースケール変換ではなく、コマの隅々に変更が加えられているのが分かりますね。
フルカラー原稿の変更例1
- 背景の水玉模様がトーン(網点)に変更された。
- 千尋ちゃんの髪の塗りが無くなった。
- 真由ちゃんの髪の塗りがグラデーションからベタになった。
- 真由ちゃんの冷凍イカのような目が「塗り」から「線」に変更された。
- 千尋ちゃんの瞳の塗りが無くなった。
- 千尋ちゃん・真由ちゃんの肌の塗り、制服の塗りが無くなった。
フルカラー原稿の変更例2
- 背景の水玉模様と白抜きが削除された。
- 花ちゃん・美樹ちゃんの髪と肌の塗りが無くなった。
- 花ちゃん・美樹ちゃんの瞳の塗りがベタになった。
- 花ちゃん・美樹ちゃんの服の柄が無くなりトーンに貼り替えられた。
2色カラー原稿もモノクロ原稿化
2色カラー回はいくつかありましたが、「まんがくらぶ」2014年4月号で見比べてみます。
2色カラー原稿の変更例1
- 背景の模様が削除されてベタ塗りになった。
- 真由ちゃん・美樹ちゃんの肌の塗りが無くなった。
- 真由ちゃん・美樹ちゃんの制服の塗りがトーンに変更された。
- 美樹ちゃんの髪の塗りが無くなった。
2色カラー原稿の変更例2
- 背景がグラデーションだったが、上部が白い半円、下部がベタ塗りに変更された。
- 美樹ちゃんの髪の塗り、顔の塗りが無くなった。
- 真由ちゃんの頬の紅潮(赤い塗り)が線画(コテ線)に変更された。
- 美樹ちゃん・真由ちゃんの制服・鞄の塗りがトーンに変更された。
- 美樹ちゃんの背中には皺の線が追加された。
- 真由ちゃんの震えを表す点線が下部だけ白に変更された(背景下部が黒ベタになったため)。
カラー原稿をモノクロ原稿化するメリット
一般的にカラー原稿をモノクロ印刷する場合、作画や塗りには特に手を加えず、そのままグレースケール変換する、というのがよくあるパターンです。手元にある他の作者の単行本を何冊か調べてみましたが、どれもグレースケール変換でモノクロ印刷されていました。
「森田さんは無口」では全てのカラー原稿をモノクロ原稿に変更していますが、きっと佐野先生のこだわりなんでしょうね。公式ブログに単行本化の作業工程が載っていますが、その中にモノクロ原稿化に関する記述があります。
・本文のなおしを入れ、送る
雑誌掲載時間違えたところとか、直したいところを修正する。
トーン貼り忘れとか、描き文字間違いとかね。
私はカラー原稿をモノクロ原稿に変える作業も入ります。
(佐野妙先生の公式ブログから引用)
「まんがライフセレクション森田さんは無口増刊号」によると、佐野先生は漫画制作にコミックスタジオを使われているそうです。デジタルなのでアナログ(紙原稿)に比べて直しやすい環境ではありますが、多くの連載を抱えながらカラー原稿をモノクロ原稿にするのは、けっこう大変だと思うのです。相当なこだわりがなければできない筈。
では、読者の側から見たメリットは何だろう? と考えると、やっぱり単行本全体に統一感が出ることです。カラー原稿をグレースケール変換してモノクロ印刷すると、そこだけ薄墨を塗ったような「ぼやっ」とした印象になります(下図参照)。最初からモノクロだったページと比べると、その差は明白です。全てモノクロ原稿になっていれば、こういった違和感は絶対に起こりませんよね。おそらく佐野先生も、このあたりのことを意識されているのではないかと思うのです(違ってたらごめんなさい)。
関連記事
■ 「森田さんは無口」関連記事の一覧 (関連記事の総目録)■ 【森田さんは無口】原作の絵柄の変化をまとめてみた
■ 「森田さんは無口」9巻を買ってきた
■ 『森田さんは無口』の魅力について語る
■ 「森田さんは無口」 キャラクターの身長を測ってみた
■ 「森田さんは無口」 三浦千尋 きわどい発言集 (第1巻)
■ 「森田さんは無口」特装版5巻・特製小冊子のアフレコレポに書かれている真由の追加セリフが何か調べてみた
■ まんがライフANIMEコミックマーケット81限定本の「森田さんは無口」感想
■ 【森田さんは無口。】アニメ1話の『ちゅう』のタイミングがTVとDVDで違うらしいので調べてみた
■ 森田さんは無口 DVDガイド
■ 森田さんは無口 MUSICガイド
■ 森田さんは無口。 アニメ・原作対応表 Silence 01
■ 森田さんは無口。2 アニメ・原作対応表 Silence 14
■ 森田さんは無口。 アニメ・原作対応表 Special Silence 01
■ 森田さんは無口 OVA アニメ・原作対応表(イントロ&アバン)
■ 森田さんは無口。 自作壁紙
■ 森田さんは無口 自作壁紙その2
■ 森田さんは無口 アニメ未登場のキャラクターまとめ
■ 花澤香菜さんが演じたモノローグキャラをチャートで分類してみた
関連サイト
■ 竹書房4コママンガ誌オフィシャルサイト 4コマ堂■ TVアニメーション「森田さんは無口。」公式サイト (竹書房 TVアニメ公式サイト)
■ 「森田さんは無口」アニメーションDVD公式サイト (竹書房 OVA公式サイト)
■ 森田さんは無口 (Wikipedia)
■ 佐野妙 (Wikipedia)
■ 森田さんは無口とは (ニコニコ大百科)
■ 森田さんは無口とは (ピクシブ百科事典)
[PR]
|