[アニメ感想] フラクタル - FRACTALE - 第11話 「楽園」 (最終回)

あらすじ
第11話のあらすじ、主要スタッフはアニメ公式サイトから引用しておきます。フラクタル・システムを巡った激しい攻防。
システムの再起動を強行するモーラン、阻止しようとするディアス、混乱の渦に巻き込まれたクレインは、ある重大な選択を託される……。
脚本:岡田麿里 絵コンテ:山本寛・吉岡忍 演出:山本寛 作画監督:田代雅子 美術監督:袈裟丸絵美
ストーリー&感想

箇条書き五つでわかるフラクタル第11話
- バローの口から語られる、フリュネとネッサ、そして この世界の真実。(詳細は後述)
- 喜々とした表情でフリュネとネッサの秘密を語るバローであったが、突発的に自我喪失したフリュネにナイフで刺され死亡。我に返ったフリュネは動転し、その場を逃げ出す。そんなフリュネの後を追うネッサ。一方その頃、フリュネの命を狙うディアス一味は、僧院側の激しい抵抗、味方の逃走により苦戦を強いられていた。
- フリュネとネッサは僧院の中枢へ向かい、神産みの儀に臨む。スンダと合流したクレインは、それを止めに入るが、多勢に無勢で手を出せない。するとそこにディアスが登場。儀式を妨害するため、モーランを道連れに自爆を謀る。その直後の戦闘で、スンダも致命傷を負ってしまう(生死不明)。エンリは飛行船ダナンを気丈に指揮し、僧院から脱出するも、目には涙が・・・。
- 軌道エレベーターで空の屋根に登るクレイン、フリュネ、ネッサの3人。ネッサが目を覚ますと、突然ビデオレターの再生が始まる。そこに映っていたのは神と呼ばれる少女=オリジナル・フリュネ。ごく普通の女子高生だった。そしてクレインが見守る中、フリュネとネッサは融合し、フラクタルは再起動が果たされる。
- それから1年。フラクタルはリセットされたが、僧院が崩壊したため、今までのような思想統制は無くなっていた。グラニッツ一家は近隣の人々と共に、人間らしい暮らしを謳歌。クレインの家では、あれ以来眠ったままだったフリュネが目を覚まし、その中にはネッサの心とフリュネの記憶が宿っていた。おわり。
伏線とか謎の回収
ついに、神と呼ばれる少女(オリジナル・フリュネ)の秘密が明らかになった。- オリジナル・フリュネは、1000年前に実在した16歳の女子高生。
- 「ネッサ」というのはウサギのぬいぐるみの名前。
- 女子高生は父親から「気持ち悪いお仕置き」(性的虐待)を受けていた。
- その性的虐待の記憶を忘れたいが為、精神年齢が10歳に退行。
- 「フラクタル」という研究施設で「鍵」となる生体データを取られるが、肉体のデータは16歳、魂のデータは10歳となる。
- その結果、「鍵」を作り出すには、父親から性的虐待を受けた16歳の肉体と、精神退行した10歳の魂が必要に。

ところで、第8話 「地下の秘密」のフリュネの分娩台検査は何だったんだろう?バローの性的虐待を受けていたのなら、処女検査などする必要が無い。妊娠チェックなら薬で済む筈。もしかしてバローの変態趣味(分娩台プレイ)か?(*゚∀゚)=3
残された謎
謎の投げっぱなしっぷりは「宇宙をかける少女」最終回といい勝負っすね(笑)。以下、「フラクタル」で未回収の謎の一覧であります。- なぜオリジナル・フリュネ(女子高生)がフラクタルシステムの「鍵」に選ばれたのか?
- 生体データを取られた女子高生は、その後どうなったのか?
- フラクタルシステムがAR(拡張現実)機能を備えていることと、ベーシックインカムの関係。
- ネッサに好意を持っている人は、物理的に触れることができる件。
- ネッサがフラクタルシステムの圏外でも顕現している件。
- 僧院の中でネッサが消えかかっていた件。
- ディアスをあそこまで突き動かしていたものは何か?モーランの「同じ匂い」発言からすると、この世界を統べているフラクタルに対する私怨か?
- フリュネがバローを刺した短剣の謎。モーランの前から逃走する際、足もとに落とした短剣をわざわざ拾っていたのか?
- フリュネがフラクタル再起動(神産みの儀)を受け入れた理由は何か?ビデオレターを見た後に「大切な人たちを守ってあげたい」と言っていたが、神産みの義に臨む前にも、そういった感情があったのだろうか?
- フラクタルを再起動できなかった場合、いったい何が起きたのか?2000年問題みたいに、杞憂に終わった可能性もありそうだ(笑)。
総評
- 最終回は冒険物アニメらしい、実にすがすがしい大団円。しかし、ここに至るまでの展開が、ストーリーにしても、キャラにしても、中途半端だったのが痛い。特に、アニメでは珍しいベーシックインカムとか拡張現実といった斬新な設定を全く生かし切れていない点が残念だった。物語というのは、緻密なプロットの積み重ねであるべきなのだが、その土台がしっかりしていなかったことも問題だ。まあ思い起こせば、この状況は放送開始前から予想できたことなんだけどね。前回の感想でも書いたけど、主要スタッフのベクトルがてんでんバラバラ。監督は冒険物アニメ、原案担当氏は社会派アニメ、プロデューサーは深い萌えアニメをそれぞれ狙っていて、ストーリーとしての整合性をとるべきシリーズ構成は、ざぞや苦労が絶えなかったことでしょう(笑)。
- ただ、そのシリーズ構成の岡田麿里さんは、SF系アニメ、バトル系アニメには向いていないことが、このフラクタルではっきりした。CANNAN、DTB(2期)に続いて この出来ですから。日常系アニメ、恋愛アニメでは神がかったシナリオを書かれる方なので、もうSF系には手を出さない方がいいかと・・・。
- ところで、マンガ版はどうなるんだろう?ストーリー展開はアニメをベースにしてるんだけど、第1巻を読む限り、細かい描写はアニメよりもいい出来だと思う。物語の大枠は変えられないと思うが、アニメを見て感じたモヤモヤ感を吹き飛ばして欲しい。
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関連サイト
■ フラクタル - FRACTALE - (アニメ公式)■ フラクタル (フジテレビ)
■ ノイタミナ (番組枠公式)
■ フラクタル - 漫画 - (ガンガンONLINE / SQUARE ENIX)
■ フラクタル (テレビアニメ) (Wikipedia)