[アニメ感想] フラクタル - FRACTALE - 第10話 「僧院へ」

あらすじ
第10話のあらすじ、主要スタッフはアニメ公式サイトから引用しておきます。ついにロスミレ派と僧院の全面戦争が始まってしまった。僧院を急襲するロスミレ艦隊、応戦する僧院、そのさなかに、飛行船に乗ったクレインとネッサがやってきて、グラニッツと合流する事に……!?
脚本:岡田麿里 絵コンテ:伊藤智彦 演出:伊藤智彦 作画監督:田中裕介・林勇雄 美術監督:袈裟丸絵美
ストーリー&感想

箇条書き五つでわかるフラクタル第10話
- 停戦を呼びかけるため、僧院へ向かったフリュネ。その後を追ったクレインとネッサは、僧院とロスミレ艦隊の戦闘に巻き込まれ、命からがらダナンに到着。ことの次第をスンダに伝える。(以上アバン)
- 祭司長モーランに謁見したフリュネは、ロスミレへの攻撃停止およびネッサへの不干渉を要請。それが聞き入れられないなら、自害も辞さない構えだ。しかし、モーランはその願いを一蹴。フラクタルが この世界に必要不可欠な存在であることを諭し、フリュネの気勢をそぐことに成功する。
- ダナンではクレインがスンダに詰め寄っていた。スンダたちは「人殺し」ではあるが、クレインにとってもフリュネにとっても、初めてできた「仲間」。だから、自分も一緒に行き、戦いを止めさせたいと言う。そんな折、腹に一物ありそうなディアスが、協力の名乗りを上げてきた。スンダとクレインは二人で飛行艇に乗り込み、フリュネとの合流を目指して僧院へ乗り込む。(以上Aパート)
- フリュネもモーランも、僧院が神と呼ぶ少女(オリジナル・フリュネ)のクローン。そして、モーランは「鍵」に成れなかったクローン個体だった。そのことに屈辱を感じていたモーランは突如フリュネの首を絞め、屈折した心情を吐露し始める。しかし、モーランの隙を見てフリュネは逃走。クレインを探し、僧院の中を駆けめぐる・・・。一方その頃、ダナンに残ったネッサは、クレインたちの所へ行くと言いだしエンリを困らせていた。時を同じくしてトリスタン(アラバスターの飛行船)からは僧院への突入要請が入り、エンリはダナンを僧院へと向かわせる。
- だがしかし、エンリとネッサは僧院の衛兵に捕まってしまう。多勢に無勢であるが、決死の覚悟で銃を乱射するクレイン。アラバスターの加勢もあり、何とかネッサたちの救出に成功する。ところが その直後、ディアスの策略が露呈。それはフリュネを殺し、フラクタルを再起動できなくすることだったのだ。そんなことは露知らず、一足先にネッサの手を取り、その場を離れたクレイン。透明な壁で仕切られた部屋でフリュネと再会を果たすが、フリュネは再びバローに捕らわれてしまう。僧院の中枢では、モーランが神産みの儀の執行を宣言していた・・・。
伏線とか謎の回収
▊ フリュネと祭司長モーラの関係
「母さま・・・いえ、姉さまなら、きっと私の気持ちを理解してくれるはずだから。私たちは・・・私たちは元は同じフリュネだったのだから」前回のモーラとバローの会話で仄めかされていたが、モーラがオリジナル・フリュネのクローンで「鍵」になれなかった女であることが確定。
(Aパート後半のフリュネのセリフ)「姉さまは過去、フリュネだった。フラクタルが再起動したとしても、この世界は、また数百年後には同じことを繰り返さねばなりません。新しい鍵を作り、再起動を続けなければ、フラクタルの世界は維持ができない。その度に新しい私たちが生み出されるのです。鍵に見合う個体となるのか、実験を受けるのです」
(Bパート冒頭のフリュネのセリフ)
また、前回の話で、僧院の実権を握っているのはバローであることが判明したけど、公的な場所では祭司長のモーラに従うようだ。黒幕キャラにはよくあること。
▊ ディアスがフラクタル端末を除去していなかった件

第6話 「最果ての街」(Bパート)の当該シーン
それらしき伏線が第6話 「最果ての街」の中あった。具体的にいうと、電波塔の男(クレインの父)が作り出した幻の街を見て、「なぜ電波が?まだ全員に処置を終えていないのに・・・」とつぶやいていた。ただ、第6話の当該シーンは非常にあっさりと描かれていたので、伏線としては全く機能していないと思うぞ。
▊ フリュネとネッサの歌

回想シーン
挿入歌『昼の星』は、その昔 フラクタルシステムが出来た頃の流行歌。フラクタルの再起動に関係のある歌かと思ったら、とんだミスリードだったでござるの巻。「神産みの儀」とやらを見るまでは、確定ではないけど・・・。
雑感
- 前回の感想にも書いたけど、登場人物の行動とか思想にに「手段の目的化」が蔓延している。フラクタルを崩壊させることに躍起となり、その後の社会構造をどうするのか、途方に暮れる難民達をどうまとめるのか、そういったことに無頓着なロスミレ。モーラを説得する材料も無く、ただ闇雲に僧院に戻ったフリュネ。特にフリュネの突飛な行動に対しては、脚本家自身も手に負えなくなったらしい。Aパートの中で、クレインに「フリュネにしては普通だよ」という自虐的はセリフを吐かせている。まあ裏を返せば、彼女を電波キャラにしたことは、支離滅裂な行動を裏打ちするための保険になったってことですな(笑)
- 突然、心の内を語り出すモーランだけど、その悲しみや怒りが全然伝わってこない。終始( ゚д゚)ポカーンな状態だ。これまで、彼女の置かれた境遇とか心情が全くといっていいほど描かれて来なかったので、無理がありすぎる。ディアスの「愛」云々という言葉も同じで、もはやツッコミを入れる気力さえ起きない。キャラが立っていないので、いくらカッコイイ台詞を吐いていても、まるで説得力や重みがないんだよね~。この作品で耳に残っている言葉といえば、エンリの「エッチ」発言ぐらいだぜ!
- 前回ラストや今回は自分の意志を示し、行動を起こしたクレイン。当初の設定ではクレインは「傍観者」的なキャラであり、それに関しては「オトナアニメ」Vol.19の中で、原案の東浩紀氏が「クレインって男の子は主人公に見えますが、実は狂言回しで、ネッサ=フリュネの物語なんですね」と明言している。しかし、こういった手法が使えるのは活字メディアとか、ストーリー重視の一本道AVGであり、アニメという映像メディアでは土台無理があったのだろう。こうしたキャラ設定だけでなく、僧院やロスミレの位置づけ、社会構造の設定、そういった重要な部分が企画段階でちゃんと練られていなかったのかもしれない。「オトナアニメ」Vol.19のスタッフインタビューを再読して、こんなフレーズが頭に浮かんだよ。
「冒険物アニメ?」っていうと、「冒険物アニメ」っていう。
「社会派アニメ?」っていうと、「社会派アニメ」っていう。
「セカイ系アニメ?」っていうと、「セカイ系アニメ」っていう。
そうして、あとでむなしくなって、「萌えアニメ?」っていうと、「萌えアニメ」っていう。
こだまでしょうか。いいえ、フラクタル。
まあ、そうは言っても次回は いよいよ最終回。大どんでん返しとか、SF的な超展開があるかもしれないので、要注目だ!
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関連サイト
■ フラクタル - FRACTALE - (アニメ公式)■ フラクタル (フジテレビ)
■ ノイタミナ (番組枠公式)
■ フラクタル - 漫画 - (ガンガンONLINE / SQUARE ENIX)
■ フラクタル (テレビアニメ) (Wikipedia)