[アニメ感想] フラクタル - FRACTALE - 第4話 「出発」

あらすじ
第4話のあらすじ、主要スタッフはアニメ公式サイトから引用しておきます。星祭り会場に突然現れたフリュネ。スンダは襲撃を諦め、「世界の鍵」・フリュネを僧院側から誘拐する。それにより僧院から指名手配されてしまったグラニッツ一家は、フリュネを連れて村から離れる決断をする。
フリュネとの再会を喜ぶクレイン。もともとはフリュネの物だとネッサを返そうとするがフリュネはそれを拒絶してしまう。自分は嫌われているから……と。
そんなクレインに腹を立てるネッサ。フリュネの事が気になるクレインはネッサよりもフリュネを優先してしまって……。
脚本:岡田麿里 絵コンテ:足立慎吾 演出:足立慎吾 作画監督:林勇雄 美術監督:袈裟丸絵美
ストーリー&感想

箇条書き五つでわかるフラクタル第4話
- 星祭りの舞台に現れたフリュネはアップデート作業を完遂するも、ロスミレに拉致られる。
- クレインがネッサを目覚めさせたことを知り、いきなりクレインの頬を平手打ち。それを見たネッサは、フリュネを嫌いになる。
- 「フラクタルシステムは壊れた方がいい」――ロスミレとフリュネの意見は一致。しかし、協力関係までは築かれず、フリュネは村の一角にある建物に幽閉されてしまう。
- 僧院の祭司長・モーランは、ロスミレの中心人物=グラニッツ一家の殲滅を命令。戦闘部隊が村を襲撃する。その混乱に乗じて脱走を図るフリュネ。
- ネッサの制止を無視したクレインはフリュネの後を追い、そのまま一緒に逃走。途中、僧院の戦闘部隊に捕まりかけるが、運よくゴリアテに助けられる。そしてネッサを村に残したまま、クレインとフリュネを乗せたゴリアテは何処かへ出発するのであった。
電波全開なフリュネ
フリュネの行動原理や目的が見えないのは伏線なんだろうけど、やってることだけを見ると電波娘以外の何者でもないッス。まずイミフなのは、逃走中なのに わざわざ僧院の手の者がいる星祭りの会場に戻った件。クレインとネッサの姿を見て驚いていたので、少なくとも彼を助けるためではない。ロスミレの襲撃も知らなかった筈なので、アップデート作業の続行が目的でもなさそうだ。何らかの目的ので付近に潜伏していたら、たまたま戦闘が始まってしまい、事態を収拾するために飛び出したのかもしれないが、結果的にはシステムの遂行に荷担したことになる。そして、理由も告げずに「世界の鍵」となるペンダントをクレインに手渡し、彼がネッサを目覚めさせたことを知ったら、今度はいきなり平手打ち。フリュネは不思議ちゃん属性だけでなく、マジキチさん属性の持ち主でもあったようだ(笑)
そんな電波全開なヒロインなのに、第1話のメーヴェもどきの操縦に続き、今回はバイクにまたがり激走。この少女コマンドーっぷりは、「記号的な萌えではなく深い萌えを狙っていた」という、山本幸治プロデューサーの持論を具現化したものなのかもしれない。
ネッサはシステムに仕込まれた次世代コードか?
祭司長・モーランやスンダ等の言葉によると、フラクタルシステムは崩壊しかけていて、しかも時間が無いという。また、第4話までの描写を見るに、ネッサはあらゆる場所に偏在でき、好意を持った人は物理的に触れることが可能であることが判明している。そんな設定を見て ふと脳裏に浮かんだのが、伝説のカルトアニメ「serial experiments lain」に登場したProtocol7だ。これは「地球の固有振動波にシンクロさせたコード」が埋め込まれたプロトコルで、集合的無意識を意識へと転移させることが可能なプログラムとして描かれていた。要はヴァーチャルな世界とリアルの世界をシームレスに融合する仕組みを実現させたものである。
一方、フラクタルシステムはAR(拡張現実)をベースに構築された社会インフラであるが、崩壊の危機に瀕しているらしい。そして、そんな技術的にも制度的にも疲弊したシステムを救うために開発されたのが、ネッサなのではないだろうか?ドッペルのネッサが古いペンダントの中から顕現したことを考えると、システムの開発者があらかじめ仕込んでおいた可能性も高そうだ。ARを更に進化させ、仮想世界と現実世界を完全に融合させてしまうというのが僧院側の目論見。フリュネがネッサを持ち出したのは、それに反感を抱き、阻止するため。更に彼女がネッサに良い感情を抱かないのは、この世界を改変してしまう爆弾のような存在だからかも。
ところで、ネッサに瓜二つな巫女の少女は何だろう?フリュネのことを「姉さま」と呼んでいたが、今のところ本当の姉妹であるという傍証は明示されていない。巫女の少女を見つめるフリュネの表情も意味深だったし、ドッペルのネッサが古いデータである点を考慮すると、ベタだけど、ネッサをモデルにして生み出された機能限定の生体クローンあたりか?
僧院の位置づけ
「支配」と「保護」の表裏一体。第3話のBパートで、一般人を何の躊躇もなく殺しているので、僧院を頂点とする世界の維持が最優先事項っぽい。一般人はシステム(社会)を保持するための部品で、定期アップデートは部品のメンテナンス程度にしか考えていないのかもしれない。 過去のアニメで これに似た統治形態というと、イノセント@戦闘メカ ザブングルとかギルド@ラストエグザイルあたりを思い出す。レイン=傍観者
クレインはロスミレを終始テロリスト呼ばわりしているが、その一方で僧院に対しても疑心を抱いてる。彼は典型的な巻き込まれ型キャラだけど、終始 傍観者的な存在。良く言えばニュートラルな立ち位置で、悪く言えば冒険物の主人公にあるまじき、どっちつかずのフラフラした状況だ。ただ、「オトナアニメ」Vol.19のスタッフ対談を読むと、これは予定通りの設定らしい。「クレインという男の子は主人公に見えますが、実は狂言回しで、ネッサ=フリュネの物語なんですね。『ラピュタ』をそのまんまやっちゃうと、女の子は神秘的でむこう側にあって、男の子が成長してっていう。それを今やって面白いのかな?って。」もっとも、これが裏目に出て、今のところ主人公だけでなく物語に対しても感情移入できないだよね~。クレインはフリュネに一目惚れしたっぽいけど、そこに至る描写が薄いし、岡田麿里氏が得意とする女同士の確執(ネッサvsフリュネ)もイマイチしっくりこない。人の繋がりが薄い時代背景を描いたとか、電波娘同士のいがみあいなのでお察しください、と言われれば それまでだけど(笑)。
(「オトナアニメ」Vol.19 東浩紀氏の発言から抜粋)
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関連サイト
■ フラクタル - FRACTALE - (アニメ公式)■ フラクタル (フジテレビ)
■ ノイタミナ (番組枠公式)
■ フラクタル - 漫画 - (ガンガンONLINE / SQUARE ENIX)
■ フラクタル (テレビアニメ) (Wikipedia)