[レビュー] scenario experiments lain the series/シナリオエクスペリメンツ レイン [新装版]
2011年01月21日 公開
scenario experiments lain the series/シナリオエクスペリメンツ レイン [新装版]のレビューです。
![scenario experiments lain the series/シナリオエクスペリメンツ レイン [新装版]](https://blog-imgs-43.fc2.com/3/4/6/346zakki/dc110121-lain-01.png)
昨年の11月に復刊ドットコムで先行発売され、その約1ヵ月後に一般流通ルートでも買えるようになったのですが、つい最近になって やっと購入できました。^_^;
オリジナル版と比較すると判サイズが一回り大きくなっております。オリジナル版は小B6判(112mm×174mm)でしたが、新装版は四六判(127mm×188mm)です。
ざっと見たところ、脚本ページはオリジナル版そのままでしたが、その他の一部ページは別のコンテンツに差し替えられていました。ここでは、主にオリジナル版との違いを中心にご紹介しましょう。以下、左がオリジナル版で右が新装版です。
まず、表紙をめくると新装版には見返し(表紙と中身を貼り合わせるための紙、参考:本の各部名称)が付けられています。些細な変更ですが、プレミアム感が漂いますね。発行元である復刊ドッココムを見ると、紙質も保存性の高いものに変更されているそうです。
総扉のデザインもリニューアルされていますね。使われているイラストは オリジナル版も新装版も、かつてソニー・マガジンズが発行していたアニメ雑誌「AX」が初出です。どちらのイラストも、全体像は
lain‐安倍吉俊画集[AA]と
yoshitoshi ABe lain illustrations[AA]に再録されてますよ。
巻頭カラーページの口絵は同じで、変更はありません。版面サイズも一緒で、余白部分は黒ベタになっています。ただ印刷が原因なのか、意図的にノイジーにしたのかは分かりませんが、新装版の方がやや荒れた画像です。
本文に入る前の扉ページのデザインは、黒地から白地に変更。
インデックス(目次)ページ、各章の扉ページ(layer:01~13)も刷新!オリジナル版の章扉にはアニメの原画が印刷されていましたが、新装版の方はテキスト・オンリーのシンプルなデザインです。これはオリジナル版の方がいいかな~。
章と章の間にある余白ページには埋め草が印刷されてますが、オリジナル版がコラム記事だったのに対して、新装版は挿絵です。変更箇所と変更内容は次のとおり。
オリジナル版を持っている自分にとっては、挿絵の方がありがたいけど、何で変えたんだろう?
巻末のコンテンツは大幅変更。オリジナル版は切通理作氏の解説(全4頁)でしたが、新装版には「12年目のlain」と題した特別座談会(全8頁)が掲載されています。オリジナル版を持っている人に向けての、本書最大の「売り」ですな。
座談会の出席者は小中千昭氏(著者)、安倍吉俊氏(オリジナル・キャラクター・デザイン)、上田耕行氏(プロデューサー)のお三方で、トークはアニメ版「lain」という作品に携わることになった経緯からスタート。プロットをシナリオに落とし込む際に考慮したこと、キャラクター設計や絵作り、メディア芸術祭優秀賞の思い出、デジタル技術を先駆的に導入した件と続き、最後は現在のネット社会と「lain」のテーマについて、12年目の視点から語られています。残念ながら中村隆太郎監督は出席されてませんが、小中氏や上田氏の発言の中から、当時の監督の演出方針、考え方等が垣間見えてきます。なので、オリジナル版を持っている人にも一読の価値ありかと。とりあえず、lain好きの方にはコレクターズ・アイテムとしてオススメしておきます。
なお、オリジナル版の発行元であるソニー・マガジンズからは「visual experiments lain/ビジュアルエクスペリメンツ レイン」という公式ムックも発行されています(下図参照)。いわゆるビジュアル・ファン・ブックと呼ばれる書籍で、アニメの画像をふんだんに盛り込んだ各話ストーリー・ガイド、設定資料、絵コンテ、描き下ろしイラスト、スタッフ・声優・ミュージシャンのインタビュー(コメント)等が掲載されています。「scenario experiments lain the series」を補完するような情報が満載なので、今回初めてシナリオ本を買った人のためにも、是非こちらも復刊して欲しいですね。

「visual experiments lain」(1999年3月発売)
■ serial experiments lain (アニメ公式サイト)
■ 1998年 文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 優秀賞 serial experiments lain (文化庁)
■ serial experiments lain (Wikipedia)
![scenario experiments lain the series/シナリオエクスペリメンツ レイン [新装版]](https://blog-imgs-43.fc2.com/3/4/6/346zakki/dc110121-lain-01.png)
昨年の11月に復刊ドットコムで先行発売され、その約1ヵ月後に一般流通ルートでも買えるようになったのですが、つい最近になって やっと購入できました。^_^;
概要
![]() カバー(表・帯なし) |
![]() カバー(裏・帯なし) |
![]() 本体(表紙) |
![]() 本体(裏表紙) |
ついに復刊!!本書はTVアニメ「serial experiments lain」の公式シナリオ・ブック「scenario experiments lain the series/シナリオエクスペリメンツ レイン」(1998年12月5日発行、絶版)を新装版として復刊したものです。価格は2,500円(税別)となっていてオリジナル版・850円(税別)の約3倍。高めの価格設定ですが、復刻版なので致し方ないところでしょう。
伝説のTVアニメ『lain』の公式シナリオブックが、多数のリクエストに応えて、[新装版]で復活!!
★小中千昭〈著者〉、安倍吉俊〈オリジナル・キャラクターデザイン〉、上田耕行〈プロデューサー〉各氏による特別座談会=「12年目のlain」を、巻末に新規収録。ここでしか聴けない〈秘話〉が満載!
★著者自身による詳細な“脚注”は必読! 各話コンテからのカットも多数収録。
(帯・表側から引用)
復刊ドットコム独自の〈復刊リクエストで、高得票を獲得!〉
リクエスト・コメントの一部「アニメを見て大ファンになりました。アニメだけでは分からない部分も多く、この本をどうしても読みたいので、何とか復刊お願いします!」
「lainファン必携の一冊。最近ファンになった方の為にも是非とも復刊してください」
「今見ても楽しめるアニメだと思います。もっと深く味わうためにぜひ復刊を」
「放送された作品との相違点や思い、考えをより深く理解するために復刊してほしいです」
「大好きな作品なので、是非」 「副読本として重要!!」 「本当お願いします><」 etc...
(帯・ウラ側から引用)
![]() オリジナル版(左)と新装版(右) |
![]() オリジナル版(上)と新装版(下) |
オリジナル版と比較すると判サイズが一回り大きくなっております。オリジナル版は小B6判(112mm×174mm)でしたが、新装版は四六判(127mm×188mm)です。
内容
この本のメインコンテンツは、小中千昭氏が執筆されたアニメ全13話(layer:01~13)の脚本です。テキスト内の専門用語は、筆者自身による脚注で詳しく解説されています。ざっと見たところ、脚本ページはオリジナル版そのままでしたが、その他の一部ページは別のコンテンツに差し替えられていました。ここでは、主にオリジナル版との違いを中心にご紹介しましょう。以下、左がオリジナル版で右が新装版です。
総扉
![]() オリジナル版(総扉) |
![]() 新装版(総扉) |
まず、表紙をめくると新装版には見返し(表紙と中身を貼り合わせるための紙、参考:本の各部名称)が付けられています。些細な変更ですが、プレミアム感が漂いますね。発行元である復刊ドッココムを見ると、紙質も保存性の高いものに変更されているそうです。
総扉のデザインもリニューアルされていますね。使われているイラストは オリジナル版も新装版も、かつてソニー・マガジンズが発行していたアニメ雑誌「AX」が初出です。どちらのイラストも、全体像は




口絵
![]() オリジナル版(口絵) |
![]() 新装版(口絵) |
巻頭カラーページの口絵は同じで、変更はありません。版面サイズも一緒で、余白部分は黒ベタになっています。ただ印刷が原因なのか、意図的にノイジーにしたのかは分かりませんが、新装版の方がやや荒れた画像です。
本文扉
![]() オリジナル版(本文扉) |
![]() 新装版(本文扉) |
本文に入る前の扉ページのデザインは、黒地から白地に変更。
インデックス/章扉
![]() オリジナル版(目次/章扉layer:01) |
![]() 新装版(目次/章扉layer:01) |
インデックス(目次)ページ、各章の扉ページ(layer:01~13)も刷新!オリジナル版の章扉にはアニメの原画が印刷されていましたが、新装版の方はテキスト・オンリーのシンプルなデザインです。これはオリジナル版の方がいいかな~。
埋め草
![]() オリジナル版(layer:02と03の間) |
![]() 新装版(layer:02と03の間) |
章と章の間にある余白ページには埋め草が印刷されてますが、オリジナル版がコラム記事だったのに対して、新装版は挿絵です。変更箇所と変更内容は次のとおり。
変更箇所 | オリジナル版 | 新装版 |
layer:02と03の間 | Column・01 cyberia ネットカフェ・サイベリアの解説記事 美術設定3枚、原画1枚 |
怜音らしき人物とナビが描かれた挿絵1枚 |
layer:07と08の間 | Column・02 NAVI ナビ端末の解説記事 各種ナビの設定資料8枚、原画1枚 |
ナビが描かれた挿絵1枚 |
layer:08と09の間 | Column・03 school 私立鴎華女子学園の解説記事 美術設定4枚、原画1枚 |
ナビが描かれた挿絵1枚 |
layer:10と11の間 | Column・04 home 岩倉家(住居)の解説記事 美術設定6枚、原画1枚 |
ナビに占拠された怜音の部屋の挿絵1枚 |
オリジナル版を持っている自分にとっては、挿絵の方がありがたいけど、何で変えたんだろう?
巻末コンテンツ
![]() オリジナル版(解説) |
![]() 新装版(特別座談会) |
巻末のコンテンツは大幅変更。オリジナル版は切通理作氏の解説(全4頁)でしたが、新装版には「12年目のlain」と題した特別座談会(全8頁)が掲載されています。オリジナル版を持っている人に向けての、本書最大の「売り」ですな。
まとめ
ご多分に漏れず、自分も巻末の座談会目当てで買いましたが、結論から言うと買って正解でした。ページ数はそれほど多くありませんが、アニメ制作の裏話がポイントを抑えて載っている印象です。初めて聞くような話も多々ありました。座談会の出席者は小中千昭氏(著者)、安倍吉俊氏(オリジナル・キャラクター・デザイン)、上田耕行氏(プロデューサー)のお三方で、トークはアニメ版「lain」という作品に携わることになった経緯からスタート。プロットをシナリオに落とし込む際に考慮したこと、キャラクター設計や絵作り、メディア芸術祭優秀賞の思い出、デジタル技術を先駆的に導入した件と続き、最後は現在のネット社会と「lain」のテーマについて、12年目の視点から語られています。残念ながら中村隆太郎監督は出席されてませんが、小中氏や上田氏の発言の中から、当時の監督の演出方針、考え方等が垣間見えてきます。なので、オリジナル版を持っている人にも一読の価値ありかと。とりあえず、lain好きの方にはコレクターズ・アイテムとしてオススメしておきます。
なお、オリジナル版の発行元であるソニー・マガジンズからは「visual experiments lain/ビジュアルエクスペリメンツ レイン」という公式ムックも発行されています(下図参照)。いわゆるビジュアル・ファン・ブックと呼ばれる書籍で、アニメの画像をふんだんに盛り込んだ各話ストーリー・ガイド、設定資料、絵コンテ、描き下ろしイラスト、スタッフ・声優・ミュージシャンのインタビュー(コメント)等が掲載されています。「scenario experiments lain the series」を補完するような情報が満載なので、今回初めてシナリオ本を買った人のためにも、是非こちらも復刊して欲しいですね。

「visual experiments lain」(1999年3月発売)
関連サイト
■ scenario experiments lain the series/シナリオエクスペリメンツ レイン [新装版] (復刊ドットコム)■ serial experiments lain (アニメ公式サイト)
■ 1998年 文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 優秀賞 serial experiments lain (文化庁)
■ serial experiments lain (Wikipedia)
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