[アニメ感想] ゼーガペイン - ZEGAPAIN - 第25話 「舞浜の空は青いか」
第25話 「舞浜の空は青いか」

あらすじ
第25話のあらすじ、主要スタッフはアニメ公式サイトから引用しておきます。
脚本:村井 さだゆき 絵コンテ:中山 勝一 演出:中山 勝一 作画監督:鎌田 祐輔(キャラ)、池田 有(メカ)
オケアノスとガルズオルムの最終決戦は熾烈を極めた。
ゼーガペイン・フリスベルグは戦線を離脱し、舞浜サーバーの盾となって戦うゼーガペイン・ガルダは、必殺技ホロボルトプレッシャーを使用したため、QL切れで倒れてしまう。絶体絶命の舞浜サーバーに襲いかかるアンチゼーガ。
間一髪、復活したゼーガペイン・アルティールはキョウとリョーコのコンビネーションで辛くもアンチゼーガを撃退する。
一方、ミナトたちはシマから託された「QL積層化技術」や「幻体修復プログラム」のデーター解析を続けるが、たとえ持ち帰れたとしてもセレブラムには実現不可能という結果に絶望する。
ストーリー&感想
今回は、いかにも村井さだゆき氏らしい、SF的ギミックに富んだ脚本。構成的には前回の緩やかな時間の流れとは打って変わり、急転直下の怒濤の展開。Aパートで死んだと思ったルーシェン&メイウーが実は生きていた件、カワグチたちがアンチゼーガを撃退した件、シズノの正体は人工幻体だった件など、普段ならそれだけで1本作れそうな出来事だ。初見時には一度見ただけでは、すんなりと理解できなかった(笑)。逆の見方をすれば、濃いイベントが多数あり、個々の出来事が平準化されてしまった感もある。伏線回収という至上命令、尺の都合、全26話の中での位置づけ等、様々な要因があったのだろう。ただそんな中で、村井氏的に一番見せたかったのは、ラストのカミナギの涙なんじゃないかなという気もする。この後のキョウとシズノとの会話シーンを含めると、EDテーマ「リトルグッバイ」のサビの部分を連想させるし。
オープニング
今回のOPはテロップが変則バージョンになっていて、通常であればEDに表示されるキャスト一覧が流されました。この中で興味深いのは、AIたちのキャスト一覧です。AIたちがジフェイタスに乗っ取られたため、名前の後に世代番号が付けられているのですが、フォセッタだけ「III」になっています。

これには、ちゃんとした理由があります。初代フォセッタは第17話 「復元されし者」で、侵入したシンにより破壊されていて、前回まで登場していたのは2代目なんですよね。実際、前回までのEDでは「フォセッタII」と表記されていました。
Aパート

※キャプチャ画像はテレ東で放映された時のものです(以下同様)
シマの退艦命令に従い、舞浜サーバーに避難したオケアノスのクルーたち。そんな彼らの前に、オリジナル・シマの使者である黒猫が現れ、①QLの積層化技術、②幻体修復プログラム、③リザレクションシステムの仕様書(設計図)を授ける。ミナトを始め一同 色めき立つが、データを地球に持ち帰っても、現在のセレブラム陣営には組み立てられないことが判明。再生システムの大部分に、ガルズオルムの未知の技術が使われているからだ。
一方その頃、アルティールとガルダはジフェイタス研究棟の中で アンチゼーガ・マインディエと死闘を繰り広げていた。キョウとルーシェンのガチホモ連携絶妙の連携でマインディエに痛恨の一撃を喰らわすことに成功。しかし、ガルダはマインディエの反撃を受け、キョウとカミナギの目の前で爆散。怒りに駆られたキョウはホロニックブレイドを振りかざしマインディエに立ち向かうが、そのマインディエが忽然と消失してしまった。
するとその直後、ジフェイタスに乗っ取られたAIたちが登場。ルーシェンとメイウーを救出したこと、更にマインディエをエイリアス化して舞浜サーバーに侵入させたことを告げる。そしてそれに呼応するように、ナーガの意志に従って舞浜の街を破壊し始めるアビスとシン。想定外の異物の侵入に、ミナトたちには対処する術が無い。同じ頃、突如上空にゲーム「PAIN OF ZEGA」の敵メカが出現したことで、トミガイやカワグチたちは唖然となっていた。しかも、その敵メカは舞浜南高校を目がけて飛んでくる来るではないか!生徒会室の窓から その光景を見ていたミナトたちは言葉を失う中、魔法陣のごとき量子ポータルを形成し、攻撃態勢に入るマインディエ。もはやこれまでか!?・・・と思われたその時、アルティールが颯爽と登場。ナーガの意志により、アルティールもエイリアス化されたのだ。
アルティールは積層化QLを使い、大量のホロニックシールドを展開。マインディエの攻撃から建物や生徒達を護り抜く。ミナトたち生徒会メンバーは戦闘の流れ弾から舞浜南高校を護るべく、生徒達の前でセレブラムアイコンを行使。校舎や生徒達に被害が及ばぬよう、何やらバリヤーのようなものを張っている。サーバー内なので、こういった特殊な芸当ができるようだ。そんなこんなで、生徒達は誘導役を買って出たクラシゲとおミズの指示に従い、体育館へ避難。ところがそんな中、カワグチやミズキたち5人は、それとは逆の方向へ走り出していく。アルティールのパイロットがキョウとカミナギだったので、二人をサポートしたかったのだろう。5人を連れ戻すべく、シズノが後を追うことになったが・・・。
☞ クリスとミナトの会話から、オケアノスと舞浜サーバーのリンクが切れたことが判明。

クリス「もう現実世界の状況もフィードバックされてない」
ミナト「オケアノスとのリンクが途絶えたのね」
ただ、ここでちょっと疑問が頭をよぎった。クリスのこのセリフは、舞浜南高校の生徒達を見てのものです。舞浜サーバー内の幻体(非セレブラムのNPC)の行動に、現実世界の出来事(セレブラントとガルズオルムの戦い)って、フィードバックされてましたっけ?舞浜商店街の街頭ビジョンのニュースで、それらしき報道(セレブラムを国連に置き換えた報道)はなされてたけど、サーバー内の幻体に直接影響するようなフィードバックは無かったよう気がするんですが・・・。なぜクリスは舞浜南高校の生徒を見て、フィードバックが断絶したことに気付いたのだろうか?なお、ゲーム(PAIN OF ZEGA)の方には、現実の出来事が直ぐに反映されてました。
☞ アンチゼーガ・マインディエが、ナーガの意志により舞浜サーバー内に侵入。これぞ最終回一つ前の醍醐味ッスな~!

ミナト「どうして?量子兵器が ここに侵入できるわけない!」
タルボ「対幻体用のエイリアスですよ」
フォセッタ「オケアノスは、今はジフェイタスの管理下にありま~す」
ミナト「なんですって!」
リチェルカ「簡単に言うと、私たち乗っ取られちゃいましたぁぁぁぁあああ!!」
エイリアスと聞いて思い付くのは、UNIX系OSのシェルの内部コマンド(alias/コマンドの別名を定義する命令)とか、MacOSのフォルダやファイルの分身(Windowsのショートカットみたいなモノ)です。一方、ゼーガのエイリアスは「ゼーガペイン ビジュアルファンブック」(P.30)に「機体をデータ化することで量子コンピューター内に進入することもできる」と書かれていることから、物理的実体のあるモノを電子化したモノを指すようです。なので、UNIXやMacOSのエイリアスとは少し意味合いが違いますね。
まあそれは兎も角、乗っ取られたAI(特にフォセッタとミーちゃん)の喋りがウザイことこの上ない(笑)。
Bパート

舞浜南高校の体育館。避難してきた生徒達を前に、体育館のセキュリティを強化した件を伝えるミナト副会長。イリエの献身的なシステム操作で、外部からの これ以上の侵入はシャットアウトされる。とりあえず一安心・・・といきたいところだが、そうは問屋が卸さず。ピンチだったのは、舞浜サーバーだけではなかったのだ。ミナト達の作戦が停滞している間に、地球ではデフテラ領域が急速に拡大。あと12時間で、地球全体を呑み込みまでになっていたのだ。ジフェイタスに取り込まれたAIたちは、ここで色々とウンチクを垂れ始める。ナーガという人物は、人類の進化のためには反逆者(セラブラム)をも利用する度量の持ち主で、アルティールをわざわざエイリアス化して舞浜内に転送させたのも同じ理由から来ているらしい。
舞浜の上空では、ウルヴォーフルとアンヴァールのエイリアスが我が物顔で飛び回り、水族館、コンビニ、CAFE舞浜といったキョウたちの思い出の場所を次々と破壊していた。一方、積層化QLでエネルギー切れの心配がないとはいえ、アルティールは多勢に無勢で孤軍奮闘。地上では カワグチたち5人がアルティールの後を追い掛けていたが、突然飛来したウルヴォーフルの攻撃を浴びかける。シズノが現れバリアーを張ってくれなかったら、修復不能のドライダメージを受けていたことだろう。
で、この直後、ショーウィンドウの中にAI3人娘が登場。シズノの正体を暴露しちゃいます。イェルVer.4.31、IAL社の量子サーバー内で生まれた人工幻体、それがシズノの出自だったのだ!キョウやミナトを始め、オケアノスのクルーたちは一瞬愕然となる。涙を流し、正体を隠していたとと謝罪するシズノ。それを見たミナトは「あなたは仲間よ!」と励まし、「そんなこと、あったりめぇだぜぇぇぇぇええええ!!」と絶叫をかますキョウちゃん。さすがウィットに富んだ熱い漢だぜ!
そうこうしているうちに、アルティールとマインディエはビル街の中に着地。カワグチたちの目の前で、対峙する形になる。するとここで、カワグチたちが予期せぬ行動を取り始める。マインディエに向かい、瓦礫を投げつけ出したのだ。それに対して、当初は無意味な攻撃と静観していたアビスとシン。しかし突如、得体の知れぬ恐怖に囚われ、舞浜サーバーから逃げ出すことに。そして追ってきたアルティールに背後を取られてしまい、ホロニックブレードで一突きされ爆散するのであった。
サーバー内に侵入した敵を駆逐したことで、ようやく最終作戦=プロジェクト・リザレクションは再開。小型化された舞浜サーバーのホロメモリー(人類復活プログラムを含む)をゼーガペインに物理収納し、そのまま地球に運ぶことになった。ただし、作業ロボットが無いため、誰かがリザレクションシステムを使い実体化した人間に戻り、その手でホロメモリー収納する必要があるという。しかも、無事地球に到着しても、地上でリザレクションシステムが完成するまで何年かかるか分からない。サーバー内とは異なる時間の流れ中で、一人で生きていかねばならないのだ。
その孤独で過酷な役回りを引き受けたのはキョウちゃん。リザレクションシステムに入る当日、キョウはカミナギと別れのキスを交わし、ループの無い現実の世界へと旅立つ。カミナギが涙を流し、感情を取り戻した時には、既にキョウの姿はプールの中に消えていた・・・。
リザレクションシステムによる復元は成功。キョウは肉体を持った人間として、まずはホロメモリーをアルティールに物理収納。そしてアルティールに乗り込むが、リアシートのシズノは幻体なので、もう手を触れ合うことはできなくなっていた。それでもキョウは笑顔を向け、以前の記憶が全て戻ったことを打ち明ける。それを表すように、シズノを呼ぶ際の呼称が「先輩」ではなく「シズノ」に戻っていた。
こうして最終作戦=プロジェクト・リザレクションはフェーズIVへ移行。デフテラ領域が地球全土を覆い尽くすタイムリミットが刻一刻と近づく中、キョウとシズノはジフェイタスからの脱出を目指すのであった。
☞ クリス&メイイェンがオケアノスに こっそり侵入。しかし、それには全く気付かない、おまぬけなAIたち。第13話 「新たなるウィザード」の補完話(ドラマCDのEPISODE2「Entanglement 13.3」)では、オケアノスに突然やって来たカミナギに気付いていたんだけど・・・。ジフェイタスに乗っ取られた影響なのだろうか?

☞ シズノの正体は大方の予想どおり、IAL社により創られた人工幻体(イェル Ver.4.31)でした。

ただ、今回は多種多彩なイベントが数多く発生しているため、せっかくの正体ばらしなのに、イマイチ盛り上がりに欠けるきらいが・・・。シズノ先輩の報われなさ度は、本当パネエっすね。。・゜゜・(>_<;)・゜゜・。
人工幻体についての詳細は「ゼーガペイン ビジュアルファンブック」に掲載されているので、引用しておきます。文章中の専門用語には、解説しているサイト(Wikipedia等)にリンクを張りました。
人工幻体 【用語】
ナーガによって人工的に創られた幻体。もともとの実体を持たないので、現実の人間にはなれない。プログラムでありながら量子のゆらぎを演算素子に有するため、デカルトの劇場やクオリアを感じる核を持ち、通常の幻体とまったくかわることはない。そのことを実証するためにナーガは人類の幻体化を推し進めていたとされる。心を宿したプログラム、イェル・バージョン4.3.1は、自分が実験材料であることを知らずにセレブラムに身を投じ、シマと行動を供にする。
☞ カワグチたちの身を挺した投石攻撃により、遺伝子に潜む古い人類の感情(?)が呼び起こされ、撤収するアビスとシン。

しかし、この場面には驚いた。復元者に対抗する最強兵器は石だったのか!!(笑)。
☞ 舞浜サーバー内では感情を失った筈のカミナギ。その彼女が、キョウを見送る際に涙を流して絶叫。量子のゆらぎのトンネル効果が発動し、通常では乗り越えることができない壁を、非常に少ない確率の中で乗り越えたのかもしれない。「量子のゆらぎ」ならぬ、「リョーコのゆらぎ」と名付けることにしよう(笑)。
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関連サイト
■ ZEGAPAIN (アニメ公式サイト)■ ゼーガペイン Blu-ray BOX (バンダイビジュアル)
■ アニメ ゼーガペイン (BS11デジタル)
■ あにてれ ゼーガペイン (テレビ東京)
■ ゼーガペイン (Wikipedia)