[アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第19話 「約束」
第19話 「約束」
アニメや原作ゲームの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。
あらすじ
第19話のあらすじはテレビ東京・あにてれ Phantom~Requiem for the Phantom~から引用しておきます。インフェルノの取引を潰した犯人を調査する過程でキャルという少女に出会った玲二。だが、インフェルノ上層部は犯人の手掛かりを知るキャルを尋問にかけようとした。彼女を守るため、玲二は彼女を助手として訓練していると組織を欺くことに・・・。 キャルとの生活の中で、彼女の無邪気さに触れ玲二は次第に、異常な世界から人間らしさを取り戻していく事に気づき始めていた。キャルと一緒ならば過去の自分に戻れるかもしれない・・・。いつしか二人は互いにかけがえの無い存在となっていた。 だが、あの男、サイスが動き出す・・・。行方をくらまし、クロウディアへの復讐の機会を窺っていたサイス。クロウディア、梧桐組、ワイズメルと三つ巴の疑心暗鬼を煽り立て、それぞれを自滅へと導いた。そして、最後の仕上げとしてクロウディアのこれまでの陰謀をインフェルノの上層部に暴露しようと、サイスが暗躍する。
ストーリー&感想
今回は第11話「襲名」と同様、総集編+新作カットから成っています。総集編パートは原作ゲーム・第2章に相当する第12話「亡霊」~第18話「対決」で、新作カットはそれら過去話の補完およびゲーム第2章の残りです。
基本的にキャルにスポットを当て、その間々にインフェルノや梧桐組、サイスサイドのエピソードを織り込む構成で、複雑な第2章をまったりと分かりやすくまとめていたと思います。ただ、「ファントム」を見たことない人にいきなりこの総集編を見せたら、「玲二=ロリ専」という誤解を生みかねないかもw
なお、この感想記事では新作パートのみをとりあげ、総集編パートは割愛してあります。
Aパート
Aパートは、玲二とキャルの出会いを描いた第12話「亡霊」から、玲二がキャルに懐中時計をプレゼントする第15話「再開」迄をまとめたものです。この総集編で追加された新作カットは次の3箇所。

サブタイトル表示前の冒頭シーン。第13話「偽装」(Bパート)で描かれていたキャルの回想に、新作カットがいくつか追加されています。
- 酔ったジュディをキャルが支えながら歩くカット
- アインがサイレンサー付き拳銃で梧桐組舎弟を射殺するカット
- その現場を目撃したジュディが、キャルの手を引き逃げるカット
- 車内にあった500万ドル入りバッグを映すカット
- キャルが射殺されたジュディにコートを被せ、絶叫するカット

エプロンを着てロフトの部屋を掃除するキャル。第14話「監視」(Bパート)・ショッピング街での買い物シーンの後に追加された新作カットです。ゲームにはエプロンを着て掃除する描写は無かったので、アニメオリジナル。

クロウディアと梧桐の情事や、キャバレーで美女をはべらかすワイズメル、廃工場でのキャルの射撃訓練等の盗撮画像を眺めるサイス。第15話「再開」(Bパート)、玲二がキャルに懐中時計をプレゼントしたシーンの後に追加された新作カットです。これもゲームには無いアニメオリジナル描写。
気になるのは、サイスはいったいどのような方法で盗撮したのかという点。クロウディアと梧桐の情事が、クロウディア邸の中での出来事だとすると、あの警戒厳重な屋敷によく侵入できたものです。何しろ、進入経路に最低3つのセンサーが設置され、要所には催涙ガスやゴム弾などの非殺傷系のトラップが連動するようになっている、鉄壁の要塞ですよ。クロウディア邸は!もしかして、アインが潜入したとか?!情事を盗撮するアインたん(;´Д`)ハァハァ
Bパート
Bパートは、玲二とエレンのエレベーターホールでの再会を描いた第14話「監視」のラストシーンから、第17話「真相」のキャルの見送りシーンをまとめ、更にアニメオリジナルやゲーム第2章の残りを新作カットとして追加しています。

車の運転席に座り、プリントアウトした盗撮写真を眺めるサイス。第15話「再開」(Bパート)、アインが超長距離狙撃をしたシーンの直後に追加された新作カット。ゲームには無い、アニメオリジナル描写です。

キャルのお掃除PART2。第16話「告白」(Aパート)、玲二がキャルをメイドとして雇ったシーンの後に追加された新作カットです。これもアニメオリジナル。

キャルがレンタルビデオ屋に行っている間に、ロフトの部屋が爆発炎上するシーン。ゲーム第2章にある、次のナレーション(テキスト)を映像化したものです。
あの日・・・修理を終えたビデオデッキを試そうと、夜半にビデオレンタル店に出かけ・・・。戻ってみれば、帰るべき部屋が燃えていた。丹念にベッドメイクしたシーツも・・・愛情込めて整えたキッチンも・・・何もかもが灰となり、消えうせた。はじめて、買ってもらえた服さえも・・・。(以上ゲームのテキストより)

インフェルノに襲撃され、いまだ焼けこげた臭いのするロフトの部屋にしゃがみ込み、玲二の帰りを待つキャル。そして、そこに現れるサイス=マスター。キャルのセリフが絞り込まれていたり、懐中時計を開く描写が追加されていますが、ほぼ原作準拠です。(ゲームの内容は下記のとおり)
焼けこげたその部屋でキャルはひとり、待ち続けた。
キャル『・・・だけど、こんなの全然平気だよ・・・だってあたし、殺し屋ファントムの相棒だもん・・・。命賭けで生きていくんだもん・・・あたし、そう決めたんだもん・・・』
だからキャルは、待っている。愛するパートナーが戻ってくるのを・・・。
キャル『きっと玲二は、戻ってくる・・・。そう約束したんだもん・・・。必ず、迎えに来てくれる・・・。泣くのは・・・それから・・・。玲二の顔見たら、まず思いっきり怒鳴って、二、三発は叩いてやって・・・それから、あいつの胸で思いっきり泣くんだ。それまでは、我慢だよ・・・。ね、キャル』
そう信じ続け・・・、待ち続けて・・・そして3度目の朝がきた。先に、抜け駆けをして泣き始めたのは空だった。さめざめと、路面を叩き続ける朝の雨。その音を、空っぽの窓の外に聞くうちに・・・いつしかキャルの頬を、雫がひとつ・・・ゆっくりと伝い落ちていった。
キャル「・・・うそつき」
サイス「そうとも・・・やつはうそつきだ」
キャル「・・・え?」
サイス「ずっと騙されていたんだよ。君は・・・」
キャル「・・・あんた、誰?」
(以上ゲームのテキストより)
ところで、サイスの服装は帽子+グラサン+人民服もどきがデフォルトになったのでしょうか。実は本人のお気に入りだったりw

メキシコに入国した玲二とエレン。けっきょく、ワイズメルの別荘に行って500万ドル入りバッグの回収シーンはありませんでしたが、玲二が担いでいるナップザックの中身は札束のような気がします。なお、ゲームには実際にメキシコに入国する描写はなく、このあたりのことはナレーション(テキスト)で語られています。
今後の展開についての考察
原作ゲームの攻略ルートは、大きく分けて次の二つに分類されます。
①共通ルート
アインとの出会いと別れ(第1章)、キャルとの出会いとアインとの再会(第2章)、美緒との出会い(第3章)を描く。
②クロウディアルート
共通ルートから分岐し、第2章は全く異なるストーリー展開となる。キャルはストーリーに絡まず、第3章にも到達しない。
今回のエピソードを以てゲームの第1章~第2章が終了しましたが、描かれている内容を見ると、第3章に到達する共通ルートに準拠しています。ただ、共通ルートではクロウディアの末路が明示されていなかったので、第18話「対決」では、クロウディアルートの一部が補完的に使われていました。
今後の展開を予想すると、4人のヒロイン(アイン、キャル、クロウディア、美緒)のうちクロウディアは脱落したので、ほぼアインEDとキャルEDに絞られたと言えそう。ちなみに、クロウディアEDを除く、残りのヒロインのEDは下表とおり。(第1章や第2章の途中で終了するEDは含みません)
No. | ED名称(PS2版) | ヒロイン | 内容 |
1 | 蒼穹の道を | アイン (エレン) |
玲二とドライが対決して、ドライ死亡。玲二は梧桐組やツァーレンシュヴェスタンの襲撃も退け、一方エレンはサイスを射殺。二人は日本を脱出してアインの過去を探す旅に出る。その途中、サイスと思われる男が香港のとある場所で東洋人の少女を引き取ったとの情報を得る。その少女はウランバートル出身ということで、玲二とエレンはモンゴルに向かい、広大な草原に立つが、けっきょくエレンの記憶が戻ることはなかった。しかし、エレンは何度も夢に出て来た青い空を見上げ、これで十分と思い、満面の笑顔を浮かべるのであった。 |
2 | 月輝くる夜に独り | PS2版で追加されたEDで、PC版(Phantom INTEGRATION)にも収録されています。 玲二とドライの一騎打ちで、玲二が死亡。しかし、玲二への復讐だけで生きてきたドライは、その目的が達成したことで生ける屍となり、ただの殺人マシーンと化して淡々と人を殺す毎日を送ることに。そして、2年が経過したある日。とある海岸で、ドライはエレンと遭遇。ドライへの復讐だけで生きてきたエレンはドライを射殺。しかし、彼女もまた、ドライ同様の虚しさと孤独に苛まれていくのであった。 |
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3 | 砂塵の道を | キャル (ドライ) |
玲二とドライが対決していると、エレンが突然乱入。それを見た玲二は咄嗟にドライを庇うが、その際、ナイフを肩に受けて気を失ってしまう。この直後、三人は梧桐組の襲撃を受けるが、エレンによって玲二とドライは脱出。しかし、それも束の間、今度はツァーレンシュヴェスタンの襲撃を受けて玲二はサイスの人質に。ドライは死を覚悟して玲二の救出に向かうが、ここで再びエレンが登場。エレンの撃った弾丸はサイスに命中し、玲二とドライは命を救われる。しかし、瀕死の重傷を負っていたエレンは死亡。玲二への想いをつぶやき、息を引き取っていった。こうしてただ二人生き残った玲二とドライは、日本を脱出して放浪の旅へ出るのであった。 |
4 | 桜舞い散る道を | 美緒 | 美緒の勇気ある行動で、梧桐組の包囲網を脱出した玲二。しかし、サイスの命を受けたツァーレンシュヴェスタンが二人を襲撃する。玲二は美緒を志賀に預け、ツァーレンシュヴェスタンとの戦いへ。一方、志賀は自分の命を賭して美緒を守り抜く。玲二とツァーレンシュヴェスタンの戦闘は死闘を極めたが、ドライの援護で何とかサイスを倒すことに成功する。そしてドライは去り、玲二はエレンに促されて美緒のもとへと向かうのであった。 第3章で玲二、エレン、ドライが生き残る唯一のEDですが、玲二が日本を去り、その後どうなったのかが明示されていないので、かなりもやもやした終わり方になっています。 |
なお、上記以外にもアインとドライ、玲二の三人が生き残るEDがファントム―ツヴァイ (角川スニーカー文庫)[AA]で描かれています。これは、「蒼穹の道」への変則パターンで、キャルがリズィと一緒にアメリカに帰国するという展開。最後はモンゴルの草原で締めくくられています。
さて、この段階でファントムの最終回について触れるのは野暮ですが、とりあえず適当に推測してみようと思います。まず、これまでの真下作品の最終回を思い起こすと、「視聴者の解釈に任せる」的な終わり方が多いんですよね。美少女ガンアクション3部作の1作目「NOIR」と2作目「MADLAX」は正にそんな感じでした。闇の中に消えていく霧香とミレイユ、そしてそれに被さる謎の銃声で幕を閉じた「NOIR」。オカルト的な超展開になり、いくつかの謎が放置されたまま終了した「MADLAX」(ちなみに「MADLAX」のシリーズ構成は「ファントム」と同じ黒田洋介氏です)。どちらも原作の無いアニメオリジナル作品であり、良くも悪くも監督の意向が働いた結果が、あの最終回になったものと思われます。
一方、「ファントム」はゲームという原作があり、前述したとおり、いくつかのエンディングが用意されています。アニメ第4話と第12話にモンゴル旅行のリーフレットが登場していることを考慮すると、アインルートの「蒼穹の道を」EDになりそうですが、真下監督のことなので何かやりそうな気がします。ただ、MADLAX Vol.2 [DVD][AA]のブックレットの中で、黒田氏が「再び監督に立ち向かうことになるでしょう。何度作品をつくったとしても」と書いているので、もしかしたら「MADLAX」のリベンジで黒田氏側が押し切る形もあるかも。その場合は、普通に原作準拠の終わり方になるでしょうね。まあどちらにせよ、ドライ(キャル)は殺さないで!(←けっきょくそこかよw)
銃器チェック
第19話に登場した銃器を適当に鑑定しておきます。新作カットに登場したものだけで、総集編パートに登場した銃器は除きます。何かお気付きの点がありましたらコメントください。m(_ _)m

アインのサイレンサー付きオート
アインが梧桐組を襲撃した際に使用したオート。正面(マズル周辺)の形状を見るとコルト ガバメントっぽいけど、フレイムやスライド先端のデザインはFN ブローニング・ハイパワーとかCz75のセカンドバージョンに見えます。でも、全体像が映っていないこともあり、正直なところ何だかよく分かりません。お手上げ\(^O^)/
そういえば、第12話「亡霊」で襲撃現場を検証した玲二が、死体の状況を見ただけで「襲撃者は単独。武器はサイレンサー付きのピストルと大型ライフル」と言ってましたが、大当たりですね。さすがファントムw
《2009年8月9日 16:15 追記》
FNハイパワーは「NOIR」の第12話『刺客行』に登場してたので、参考のためNOIR(ノワール) Vol.6 [DVD][AA]に収録されている設定画を貼っておきます。

NOIR DVD 第6巻 特典映像より
次回予告

次回から第3章がスタート。舞台は日本に移り、玲二とエレンがインフェルノを逃亡してから2年後という設定。予告映像を見ると、エレン、美緒、早苗の制服の色が違っていますね。制服が複数ある学校なのか、あるいは学校指定の制服が無くて自分の好きなデザインの制服を選べる学校なのでしょうか。最近、そういった学校が増えているそうですが・・・。
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関連サイト
■ ニトロプラス10周年記念 ファントムプロジェクト「ファントム」 (TVアニメ公式)■ Phantom~Requiem for the Phantom~ (TV東京・あにてれ)
■ 月刊コミックアライブ オフィシャルサイト (メディアファクトリー公式)
■ ファントムシリーズ (ニトロプラス公式)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (DVD VIDEO GAME公式/デジターボ)
■ ファントム-PHANTOM OF INFERNO- (PS2版公式/プリンセスソフト)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (Wikipedia)
■ ファントム -PHANTOM OF INFERNO- シリーズ 銃火器データベース (MEDIAGUN DATABASE)
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