[アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第14話 「監視」
第14話 「監視」
アニメや原作ゲームの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。
あらすじ
第14話のあらすじはテレビ東京・あにてれ Phantom~Requiem for the Phantom~から引用しておきます。
「キャルを自分の助手として育てる」ワイズメルからキャルを守るため、玲二は幹部会で大芝居を打った。抜け殻の様に暗殺を続けていた玲二。それだけに、彼がキャルに同じ道を歩ませたいはずなど無かった・・・。だが、幹部に啖呵を切った以上、それなりの体裁を整えなければ幹部を納得させる事は出来ない。特にワイズメルの追求は厳しいだろう・・・。キャルを守るための嘘・・・。それは、思った以上に玲二に重くのし掛かる・・・。
一方、クロウディアはワイズメルに疑惑を抱いていた。彼は組織内でクロウディアが力を得る事を快く思っていない。自分への牽制で取引を潰したとしたら・・・確かに辻褄が合う・・・。クロウディアは梧桐らの帰国を引き止め、秘密裏に玲二に監視させる・・・。梧桐組をエサにワイズメルを炙り出し、その尻尾を掴むために・・・。
ストーリー&感想
第14話は原作ゲーム第2章・前半の残り(キャルとの生活、廃工場での訓練、クロウディアと梧桐の関係、謎の暗殺者)をアニメ化したものです。第1章に1クールを使ったのに比べ、この第2章は少し急ぎすぎの印象を受けます。その結果、2クール目で第2章~第3章を描くこととなりますが、ゲームにあるクロウディア・ルートの扱いがどうなるのか・・・。アニメのクロウディアはかなり目立っていて、陰の主人公的な立ち位置なので、どこかで収拾を図る必要がありますね。おそらく、日本編に入る直前あたりで、玲二vsクロウディアが描かれるのかもしれません。いや、是非描いてください!
Aパート

玲二とキャルの奇妙な同居生活が始まった、ある日の昼下がり。ロフトのキッチンには料理作っているキャルの姿があった。玲二が近付くと、コンロの上では鍋が湯気を立てていた。キャルは前回大量に購入し、冷蔵庫に保存していたハンバーガーを素材に使い調理していたのだ。そして、それを恐る恐る口にした玲二の感想は、ただ一言「美味い」。キャルには、機械の修理(※)だけでなく料理の才能もあったようだ。
※前回の目覚まし時計の修理
冒頭シーンの流れや会話の内容はほぼ原作ゲーム準拠です。なお、ゲームの玲二は手作り料理のに懐かしさを感じたり、キャルの料理の手際の良さを褒めたり、テーブルの準備を手伝ったりしていますが、その部分はカットされています。尺の都合もありますが、アニメ版の玲二は無口でクールなイケメンのイメージを貫きたいってところでしょうか。その方が「美味い」というセリフにインパクトがありますしw

キャルと向かい合わせでテーブルに座り、キャルの話に耳を傾けながら食事をする玲二。マグワイヤやワイズメルを納得させるための方便とはいえ、キャルを暗殺者として育成することになったことを考えると心は晴れない。しかし、形だけでも取り繕う必要があり、玲二はキャルを助手として起用することとなった。一方、それを聞いたキャルは「すごい!あたしファントムの助手になるんだ!」と大喜びする。
サブタイトル表示後のこのシーンも、細かいセリフ回しの変更を除けば内容はゲーム準拠。ただ残念なのは、玲二に料理の誰に習ったのか聞かれ、「いろいろ食べて美味しいと思ったらそのまんま真似をするだけ」と答えるセリフがカットされた件。このセリフにはキャルの才能(自分で見聞きしたり触れたりしたモノの本質を理解する力)の一端が現れているのですけど・・・。

同日の午後。クロウディアが梧桐組への釈明に出向くこととなり、玲二は護衛としてそれに同行。ホテルの一室での会見と相成った。そして、クロウディアの釈明と説得で、殺気立っていた梧桐組をなだめることに成功する。
その帰り道。クロウディアは梧桐組の監視を玲二に命令する。梧桐組襲撃をワイズメルの犯行と疑っているクロウディア。ワイズメルによる再襲撃の現場を押さえるため、梧桐組はサメ釣りの餌、そして玲二は釣り針だと言い切る。
一方、会見後の梧桐組。梧桐大輔の側近である志賀は、ギュゼッペ(サイス)に電話し状況を報告。サイスはインフェルノの息が掛かっていないコーディネーターということで、志賀に取り入ることに成功したようだ。
このシーンの内容、クロウディアの悪女っぷりはゲーム通りです。ただし、玲二がクロウディアの強引な策略に違和感を感じるモノローグ「ここまで非常な策略を巡らすような、そんな人だったのか?」が削除。また、志賀がギュゼッペ(サイス)と電話連絡している部分はアニメオリジナルです。サイスは表向きには梧桐組のオブザーバーとして助言を与える立場ですが、裏ではアインを使い梧桐組を襲撃するという策士っぷり。第11話にもサイスと面会する志賀のシーンがありましたが、ゲーム第2章は敵味方が混沌として分かりにくいので、視聴者の理解を助けるため意図的に挿入したものと思われます。

梧桐組との関係をより一層深くするため、クロウディアは自らの身体を使い、梧桐大輔を懐柔していく・・・。
( ゚∀゚)o彡゜オッパイ!オッパイ!魔性の乳だ!
このシーンの内容もゲーム準拠ですが、ゲームではクロウディアの釈明の後ではなく、キャルと玲二の買い物シーンの後に挿入されています。ちなみに、PC版では18禁CGが見れます。
Bパート

翌日。キャルとの約束を果たすため、玲二はキャルを連れてショッピング街へ。ところが、キャルはこうした買い物は初めてということで、2時間経ってもなかなか買う服を決められない。玲二の「欲しいものがあったらまた連れてきてやる」の一言が無ければ、閉店時間まで粘ったことだろう。
買い物を終え、ロフトに戻る途中、玲二はリズィの姿を見かける。リズィは玲二にSIG SAUERを手渡し、更にマグワイヤがキャルのことを話題に出していた件を伝える。とうとう来るべきものが来た・・・。しかし、このまま手をこまねいていることもでない。玲二はリズィに助言に従い、キャルに銃の手ほどきをする決意をする。
ショッピング街での買い物、リズィと玲二の会話、廃工場での射撃訓練シーンも、細かい部分を除けば原作準拠。ただし、ご多分に漏れずゲームとは異なるアニメオリジナル描写もあります。
キャルとの買い物は、ゲームでは梧桐組とクロウディアの会見から戻った直後に描かれていて、選択肢「買い物についていく」を選ばないと見れません。また、買い物の当初の目的は生活用品の購入(それもキャルの提案)で、キャルの服を買うためではありません。キャルの身なり(古着の着合わせ)が周囲の客の注目を浴び、店員が万引きの警戒をしている姿を見て、玲二が仕方なくキャルの服を買うことになります。その際、玲二がキャルの着ている古着について言及し、キャルが「これで駄目なら裸になるしかないよね。玲二、あたしの裸見たい?」と答える微笑ましい描写があるのですが、それは残念ながら削除。購入した服のデザインも異なっていますが、これはゲームが製作された当時(2000年)と現在(2009年)の時代背景の差でしょうか。
リズィが玲二にインフェルノ幹部の情報を伝えるシーン。アニメでは路上でしたが、ゲームではインフェルノ本部の廊下です。弾薬のストックが乏しくなった玲二が、補充しに本部を訪れ、偶然リズィと会うという設定です。

玲二は、昔アインから訓練を受けた廃工場にキャルを連れて行き、射撃訓練を開始する。銃の扱いについて一通り教えた後、玲二はキャルに一人で練習するよう命じ、自分は工場内へ。そこでアインとの思い出を振り返り、再びキャルの所に戻ってみたところ、キャルが映画の1シーンを真似て射撃している場面に出くわす。キャルの撃ち方は独特のフォームで、非の打ち所がないものだったが、ターゲットに命中させることが出来ない。そこで、玲二が撃つタイミングをずらすよう指導すると、キャルの撃った弾丸は見事ターゲットを撃ち抜くことに成功。玲二は嘘から出た実に愕然とする。キャルは本物の天才だった・・・。
廃工場シーンは流れや会話の内容は原作通りですが、キャルの設定に大きな違いがあります。アニメのキャルは右手で拳銃を構えていましたが、ゲームのキャルは左利きです。また、銃の構え方も異なり、ゲームでは銃を横に構えて撃つオサレ撃ちをしています。命中精度が下がるし、リアリティに欠けるので変更したのでしょうか?絵的にはカッコイイので、この変更は非常に残念。一方で玲二のファントム・エフェクトとかやっておいて、キャルのオサレ撃ちを変更するのって説得力に欠けるけど、どうよ?
あと、玲二のケータイにクロウディアからの着信がありましたが、この部分はアニメオリジナルです。ゲームにはそういった描写はありません。ちなみに、梧桐たちの豪遊は、玲二が監視を始めてから6日後(「監視を初めて一週間が経過した。一昨日から連中は、ここラスベガスで豪遊中である」というナレーションより)という設定です。

クロウディアの指示に従い、カジノで豪遊中の梧桐組を監視することになった玲二。梧桐は快調に買っている様子だが、手下の一人(室戸)は負けっぱなしでゲームを降り、バーのカウンターに行ってしまった。監視の対象が二手に分かれたことをぼやく玲二であったが、どちらも今いる位置から見渡せる範囲内にいるため、少し油断してしまったようだ。キャルの今後について思慮し、ちょっとの間、カウンターから目を離した隙に室戸の姿は消えていた。玲二は観光客を装いバーテンダーに尋ねてみたところ、若い女と一緒に部屋に戻ったという。
ついに針に食い付いた見えない襲撃者。玲二は室戸の後を追い、臨戦態勢で部屋に踏み込む。ところが、そこにはカミソリで喉を掻き切られた室戸の死体が転がっていた。死体の状況から、暗殺者が付近にいると悟った玲二は、慌ててエレベーターホールへ。そして閉まりかけたエレベーターの扉の向こうには、かつて自分が殺したはずの少女、エレンによく似た女性の姿があった・・・。
はい、このシーンに関しても話の流れは原作ゲーム準拠です。ただし、以下にあげるとおり、いくつか異なる部分もあります。
監視途中の玲二がキャルのことを思い出すシチュエーションが異なっています。アニメではカジノの客の「デニーロ」云々という言葉からキャルのことを思い出していましたが、ゲームでは舎弟の一人(室戸)が別行動をした直後に「こんな時に相棒がいてくれたら」とぼやき、キャルのことを思い浮かべています。もちろん、「日本人らしく団体行動していればいいものを」というモノローグもありません。
室戸がバーのカウンターから消えた直後の玲二の反応も全く異なります。アニメでは「食い付いた!」と言い、してやったりという描写でしたが、ゲームでは自分の迂闊さに歯がみし、室戸の後を追っています。アニメの玲二は、ファントム襲名以降は超人的なキャラになっているので、こういったミスは犯さないということで意図的に変更したのでしょう。
エレベーターホールのシーンでエレンが正面(扉の側)を向いていましたが、ゲームの玲二は後ろ姿しか見ていません(CGでは横顔が見えてますがw)。また、玲二が階段を使いエレンを追い掛けてましたが、こういった描写はゲームにはありません。今から非常階段から追っても間に合わないということで、追跡を完全に諦めています。また、その直後のナレーションで「エレベータから降りた玲二が室戸の生死を確かめに行くのをやり過ごし、そのエレベーターに乗って悠々と逃げた。その冷静さ・・・大胆さ・・・・そんな暗殺者は一人しか知らない。かつて幾度となく傍らで見て教わってきた通りの・・・」という状況説明があり、謎の暗殺者はエレンであることがほぼ確定。しかし、玲二は「ここしばらく疲れ気味だったしな」と自分に言い聞かせ、あれは幻覚だと思い込もうとしていますねw
銃器チェック
玲二のオート①

玲二のオート①
毎度お馴染みのBERETTA M92FS。アニメの中で、玲二がコッキングして懐に入れてたけど、デコッキングしないと危ないんじゃないの?
玲二のオート②

玲二のオート②
玲二がリズィから受け取ったオートは、セリフで語られていたとおりSIG SAUERシリーズ。フレイム先端の形状からSIG SAUER P226と思われる。なお、アニメ内で銃の名称が出てくるのは今回が初めて。
キャルの小型オート

キャルの小型オート
キャルが練習に使っていた小型オートは、既に第12話のアイキャッチから登場しているAMT Backup。アニメの描写を見る限り、ダブルアクション専用モデル。ちなみに、ゲームでは.380ACP仕様となっている。
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■ 月刊コミックアライブ オフィシャルサイト (メディアファクトリー公式)
■ ファントムシリーズ (ニトロプラス公式)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (DVD VIDEO GAME公式/デジターボ)
■ ファントム-PHANTOM OF INFERNO- (PS2版公式/プリンセスソフト)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (Wikipedia)
■ ファントム -PHANTOM OF INFERNO- シリーズ 銃火器データベース (MEDIAGUN DATABASE)
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