[アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第8話 「急変」
第8話 「急変」
アニメや原作ゲームの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。
あらすじ
第8話のあらすじはテレビ東京・あにてれ Phantom~Requiem for the Phantom~から引用しておきます。
梧桐組の援護任務、その直前にツヴァイはクロウディアの護衛を命じられてしまう。アインだけでは荷が重過ぎるのではないか・・・。任務解除を掛け合うツヴァイ。だが、クロウディアは、それ以上に大事な用があると、彼に赤いパスポートを手渡す・・・。
「これは君のパスポート。本当の君が・・・過去が・・・ここにある」
記憶を取り戻し人形ではなく自らの意志を持った同志として改めて、ついて来て欲しいと言うクロウディア。しかし、ツヴァイはパスポートを開くのをためらう・・・。過去も記憶も無い、それ故に機械的に殺す事が出来た。本当の自分を取り戻したら・・・暗殺者でいられる自信は無い・・・。
すると、クロウディアは記憶を取り戻した後、彼が望むなら故郷に帰してくれると約束をする・・・。嘘だとは知りつつも、ツヴァイは魅入られた様にパスポートを開く・・・。
ストーリー&感想
手練手管を駆使するクロウディア、過酷な運命に弄ばれるアインとツヴァイ。サブタイトルが示すとおり、まさに急変の第8話でした。ストーリーはゲーム準拠ですが、ゲームでは描かれていなかったアイン側の描写が挿入されていて見せ場が倍増。特にAパートは、ツヴァイ側の心理描写とアイン側のアクションの対比が鮮やかだったと思います。
Aパート

リズィからの電話連絡を受け、クロウディア邸を訪れたツヴァイ。アインのことが心配で護衛の任務を解くよう願い出るが、クロウディアの反応はにべもない。命令を解く代わりに差し出されたのは、紺色の装丁のパスポートだった。
クロウディア邸での描写は、会話の中身、雰囲気がゲームとは大幅に異なります。まず、アニメのツヴァイはクロウディアに任務を解くよう申請していますが、こういったセリフはゲームにはありません。逆に、ゲームで言及されているクロウディア邸の警備システムの件、クロウディアが自前の組織を持たない件が、アニメでは完全にスルーされています。また、パスポートの色も異なり、ゲームでは赤い表紙です。ちなみに紺色は成人(5年用)もしくは未成年(5年用)、赤色は成人(10年用)。

雨のフリーウェイでVWゴルフを運転し、たった一人で危険な任務に向かうアイン。その脳裏にはツヴァイの別れ際の言葉がフラッシュバックしていた。まるで、これから自分の身に降りかかる過酷な運命を予期しているかのように。
差し出されたパスポートの表紙を見て愕然となるツヴァイ。その表紙をめくることで自分の過去を取り戻せるが、罪の意識がわき起こり手を伸ばすことが出来ない。
現場に到着したアインは、狙撃ポジションにライフルを構えて気象条件を読む。その頃には雨も上がっていて、気になるのは南から吹く断続的な強風のみ。
逡巡するツヴァイを見たクロウディアは、彼の手にパスポートを握らせ、自らの意志で過去を取り戻すよう囁きかける。そして、ただ命令に従う人形ではなく、自らの意志で付いてくる部下になれと迫る。
このシーンから始まるアインの狙撃任務の描写は、全てアニメオリジナルです。ゲームではツヴァイとクロウディアの会話シーンの裏で起きている出来事になっていて、ドンパチ場面は一切ありません。アニメならではの補完といえます。
それはそうと、アニメのクロウディは妖しい雰囲気爆発ですね。ゲームのフレンドリーなクロウディアとは正反対。キャラ設定の微妙な違いもありますが、中の人の違い(アニメ:久川綾さん、ゲーム:井上喜久子さん)もその要因の一つかも。アニメの方は色気を前面に押し出しているけど、その裏にある儚さのようなものも感じられます。一方、ゲームの方は可愛らしさの中に潜む、女の怖さをみたいなものが出てますね。どっちも甲乙付けがたいです。(*´Д`*)

時刻は22時。コンテナヤードではコカインの取引が始まっていた。暗視スコープ越しに現場を確認したアインは、その中にリズィの姿を発見する。しかし、サイスからの命令は襲撃のバックアップ。たとえ誰が居ようと、スコープ越しに見える人物がターゲットであることに変わりはない。そして始まった襲撃チームの作戦。アインはライフルの引き金を淡々と引いていく。積み荷はトラックで乗り付けた梧桐組の二人が持ち去り、それを追い掛けようにも、リズィたちはアインの狙撃で釘付け状態だ。
一方その頃、クロウディア邸ではツヴァイが自らの意志でパスポートを開いていた。そこには自分の顔写真が貼られいるが、その横には「吾妻玲二」というまるで他人のような名前が記されている。「名前を口にしてみて」―茫然自失となったツヴァイの耳元で、そう囁くクロウディア。それに従い、名前を読み上げたツヴァイ。その途端、彼の頭の中に過去の記憶が大挙して押し寄せて来た。
コンテナヤードではインフェルノと襲撃犯たちの銃撃戦が続いていた。リズィは銃弾をかいくぐり狙撃者に近付くが、柱の陰から覗いていた顔を見て愕然とする。ライフルを構えていたのはファントム。見紛うはずもないインフェルノのNo.1スナイパーの称号を持つアインであった。しかし、人形であるファントムが自らの意志で動くことは無い。リズィは、この襲撃の裏にサイスの裏切りがあるものと断定する。
再びクロウディア邸。「私についてくるのよ。玲二。君自身の意志で」―自我が崩壊しかけたツヴァイにやさしく語りかけるクロウディア。更に彼女はこう続ける。「ただし、これは強制じゃない。君はもう一つの選択をすることもできる」
前述したとおり、アイン側の描写は全てアニメオリジナルです。さり気なく梧桐組(梧桐大輔・志賀透)を出している点が巧いですね。この二人が商品を奪って逃走しているカット※を挿入することで、この襲撃の真の黒幕が誰なのかを仄めかしていると言えます。つまり、サイスが裏切ったのではなく、インフェルノにとっての裏切り者はクロウディアであることを示しているわけです。頭角を現してきたサイスを犯人に仕立てて失脚させ、更に梧桐組とのパイプを確固たるものとする、まさにクロウディアならではの悪計です。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
※梧桐組の二人がトラックを奪い逃走した件は、ゲームでは第2章・終盤で明らかにされます。
ツヴァイとクロウディア側の描写は、ほぼゲーム準拠です。ただ、ゲームの方のツヴァイは絶叫して怒りの矛先をクロウディアに向けるのですが、アニメの方は衝撃で完全に言葉を失っています。キャラ設定の違いが反映されているようです。

クロウディアが語る「もう一つの選択」、それは玲二を日本に帰国させること。そして「私が欲しいのは、あくまで意志を持った部下だから」という言葉を繰り返す。一方、それを聞いた玲二は、あまりにも突然のことで返答に窮する。
同時刻のコンテナヤード。アインはリズィとその手下の攻勢を受け、倉庫内に追いつめられていた。「あの蛇野郎はどうせお前を捨て駒のように使ってるだけさ」―このリズィの言葉に、アインの動作に一瞬の判断の遅れが生じる。そして、リズィのハードボーラーが咆哮を上げ、撃ち放たれた.45ACP弾がアインを直撃する。
このシーンのクロウディアとツヴァイのやりとりは、流れ的にはほぼ原作準拠といえます。ゲームとの違いは、玲二が回答を保留する描写がカットされている点ぐらい。ゲームの玲二は「考える時間をください」と言って、いったんクロウディア邸を離れます。アインとリズィの銃撃戦シーンはアニメオリジナルです。
Bパート

クロウディアから選択の猶予を与えられ、屋敷を後にしたツヴァイこと玲二。当て所なく車を走らせるが、その途中たまたま目に入った公衆電話で自宅に電話を掛ける。受話器の向こう側に出たのは母親。しかし、過去の自分と現在の自分のギャップはあまりにも大きすぎた・・・。
コンテナヤードの倉庫では、リズィがアインの血痕を発見。また、サイス裏切りの一報はワイズメルとマグワイアにも伝えられていた。マグワイアは事件の裏を取ることもなく、サイスとファントムの抹殺を命じる。
ツヴァイが当て所なく車を運転する様はゲームと同じ。公衆電話を使い自宅に電話する描写、リズィがアインの血痕を見つけるカット、マグワイアとワイズメルの会話はアニメオリジナルです。

ツヴァイの車は砂漠の中の廃工場に到着。今の彼にとって、じっくりと考え決断できる場所はここしかなかった。ツヴァイはとりあえず部屋の中に入るため扉を開きかけるが、ここで異変を察知。床にはおびただしい量の血痕が広がり、部屋の奥、壁の陰にはアインが潜んでいた。銃を構えるアインは「私を殺しに来たの?」と言うが、ツヴァイにはこの状況が理解できない。一報、ツヴァイの反応から彼が何も知らないと知ったアイン。「早く組織に戻りなさい」とツヴァイを諭し、更に「あなた一人なら・・・」と何かを言いかけるが、その途中で意識を失い倒れてしまった。
ツヴァイは銃創を負っているアインをベッドに寝かせものの、いまだ状況が分からずに困惑を隠せない。そんな中、突然鳴り響く携帯電話。ツヴァイが出ると、相手はクロウディアだった。クロウディアは、サイスが組織を裏切り、ファントムを使いインフェルノの積み荷を襲撃したと言う。更にファントムがリズィの銃弾を受けている件、組織が全力をあげてサイスとアインを捜索している件、ツヴァイにも裏切りの嫌疑が掛けられている件を、電話の向こうで立て続けに述べ立てている。そして、最後にツヴァイの決断―組織に残るか、日本に戻るか―を迫るのであった。
このシーンもほぼゲーム準拠。違いはアインの登場の仕方(ゲームでは壁の陰に隠れていない)、クロウディアからツヴァイの携帯に電話が掛かってくる点(ゲームではツヴァイが電話を掛ける)ぐらいです。

脇腹に銃弾を受け苦しむアインを前にして、自らの手で弾丸摘出を行う決意を固めるツヴァイ。麻酔無しの手術とあって、アインは慟哭のような呻き声をあげる。しかし、ツヴァイは心の中で彼女を励ますことしかできない。・・・そして、どれくらい時間が経ったのだろうか。ツヴァイは脇腹に残された弾丸を見つけ出し、無事抜き出すことに成功していた。
弾丸摘出シーンもほぼゲーム通り。手術前のツヴァイの葛藤や、手術成功後の嬉し涙が削られていますが、大筋は同じです。ゲームでこのシーンを見るには、選択肢「どうあってもアインを救う」を選ぶ必要があります。もう一つの選択肢「一人で逃げる」を選ぶと、そのまま日本へ帰国してゲーム終了するのでご注意くださいw 蛇足ですが、ゲームには車のトランクにある救急キットを取りに行き、中に消毒アルコールしか入っていなくてガッカリする描写がありますが、アニメでは緊迫感を出すためかスルーした模様。

マグワイアとワイズメル、二人の幹部の指示で裏切り者の逃げ道を完全に塞がれた。残るは誰が獲物を狩るのかという人選のみ。
一方、裏切り者の捜索を任されたリズィの所には、いまだ身柄確保の知らせは入らず。ツヴァイの行方も依然として分からず、リズィは彼にも不審の矛先を向けている。そして、クロウディアはまるでその様子を楽しんでいるかのように、ツヴァイが裏切った場合の始末をリズィに命じるのであった。
廃工場の一室では、手術が成功し眠りについたアインと、彼女を抱きかかえているツヴァイの姿があった。ツヴァイはアインの眠りを妨げないように、自分の名前や過去が分かったことを囁きかけている。更に、今後の身の振り方に苦悩するが、クロウディアの提示したカード―日本への帰国、組織への恭順―以外の新たなカードの選択を決意する。それは、アインと二人で組織から逃げることであった。
マグワイアとワイズメル、クロウディアとリズィの会話シーンはアニメオリジナル。中でもマグワイアすべすべの脛とか、それを見ているワイズメルとかアッー!!な描写はどう見ても腐女子対策w 本当にありがとうござ(ry
アインとツヴァイが一つの毛布の中で密着しているシーンは、ほぼゲーム通り。ただ、ゲームのツヴァイは服を脱いで彼女を温めていますが(*´Д`*)

翌朝。目覚めたツヴァイはアインを抱きかかえて、昨日乗ってきた車へ歩を進める。助手席に乗せたアインは眠ったままだ。「行こうアイン、一緒に」―ツヴァイの囁きを合図に二人の逃亡が始まった。束の間の逃亡劇が・・・。
ゲームにある廃工場室内での描写(目覚めたアインが立ち上がり傷口を確認、服を着替える等)がカットされていますが、尺の都合で削られたというよりも、アインの弱々しさを強調しようという演出意図がありそう。何しろゲームのアインは傷が完治していないのに、見かけ上はほぼいつも通りの体調に戻ってますからw
銃器チェック
第8話に登場した銃器を適当に鑑定しておきます。何かお気付きの点がありましたらコメントください。なお、回想シーンに登場した銃は取りあげていません。
アインのライフル

アインのライフル
アインのスナイパーライフルは前回も登場しましたが、フォアグリップやロアレシーバー、マガジンキャッチ周辺の形状などからH&K MSG90と思われ。
中華マフィアのSMG

チェイニーズマフィアのSMG
チャイニーズマフィアらしき人物のSMGは、全体のシルエット、スリングフックの形状からH&K MP5KA4。
リズィの大型オート

リズィの大型オート
リズィの大型オートはゲームにも登場しているAMT ハードボーラーのロングスライド(7インチモデル)。
リズィの手下のSMG

リズィの手下のSMG
どっからどう見てもステアー TMPのフォアグリップ無し(SPP)。
アインの大型オート

アインの大型オート
アインが使っていた大型オートは、ゲームと同じH&K Mk23 Mod.0 SOCOM PISTOLのサイレンサー、LAM型フラッシュライト装備品。サイレンサーはナイツアーマメント製に見えないけど、たぶん作画のせいw
関連記事
■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第9話 「名前」■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第7話 「過去」
■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第6話 「大火」
■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第5話 「刹那」
■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第4話 「暗殺」
■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第3話 「実践」
■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第2話 「訓練」
■ [アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第1話 「覚醒」
■ [マンガ感想] ファントム・コミックアンソロジー (角川ドラゴンコミックス)
■ [マンガ感想] ファントム~Requiem for the phantom~ 第4章 (コミックアライブ2009年6月号)
■ [マンガ感想] ファントム~Requiem for the phantom~ 第3章 (コミックアライブ2009年5月号)
■ [マンガ感想] ファントム~Requiem for the phantom~ 第2章
■ [マンガ感想] ファントム~Requiem for the phantom~ 第1章
■ [フィギュアレビュー] バンダイ ニトロプラスコレクション ファントム-PHANTOM OF INFERNO- アイン
■ [フィギュアレビュー] バンダイ ニトロプラスコレクション ファントム-PHANTOM OF INFERNO- ドライ
■ ニトロプラスの「ファントム」がTVアニメ化決定
関連サイト
■ ニトロプラス10周年記念 ファントムプロジェクト「ファントム」 (TVアニメ公式)■ Phantom~Requiem for the Phantom~ (TV東京・あにてれ)
■ 月刊コミックアライブ オフィシャルサイト (メディアファクトリー公式)
■ ファントムシリーズ (ニトロプラス公式)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (DVD VIDEO GAME公式/デジターボ)
■ ファントム-PHANTOM OF INFERNO- (PS2版公式/プリンセスソフト)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (Wikipedia)
■ ファントム -PHANTOM OF INFERNO- シリーズ 銃火器データベース (MEDIAGUN DATABASE)
[PR]
|