[アニメ感想] Phantom~Requiem for the Phantom~ 第5話 「刹那」
第5話 「刹那」
アニメや原作ゲームの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。
あらすじ
第5話のあらすじはテレビ東京・あにてれ Phantom~Requiem for the Phantom~から引用しておきます。
ファントムという牙を用い、敵対組織を呑みこみ、日々勢力を拡大していくインフェルノ。そして、次なる獲物はストーンファミリーが仕切る縄張り=メラニースクウェアだった。ボスのトニー・ストーンは【石頭トニー】とあだ名される昔気質のマフィア。新興の組織であり手段を選ばないインフェルノとは水と油。当然、素直に傘下に入るはずもなかった。このままでは大規模な抗争にも発展しかねない。
そんな折、ツヴァイはクロウディアからトニーの妻エバと幼い息子デュークの監視を命じられる。交渉の切り札として使うつもりなのか・・・。とすれば、状況によっては彼らも・・・?
アインと共に監視をしていたツヴァイ、その視線が偶然デュークと交錯する。
感情など既に失くしたはず・・・。だが無垢な瞳に見据えられ、ツヴァイの表情は歪む・・・。
ストーリー&感想
今回は簡単なストーリー解説も書いてみました。銃器チェックは、この記事の最後にまとめてあります。
Aパート

ロサンゼルス メラニースクウェア ストーンファミリー
ロサンゼルスのメラニースクウェアを縄張りとするストーンファミリー。ボスのトニーは昔気質のマフィアで、売れ筋のハードドラッグには一切手を出さず、石頭トニーと揶揄されている。そんなトニーが取り仕切るメラニースクウェアに目をつけたのが、破竹の勢いで勢力を拡大しているインフェルノだ。幹部のクロウディアから命を受けたリチャード・ハリントンは、エージェントを使いトニーにメラニースクウェアでの協業を提示する。しかし、ファミリーを大事にするトニーはそれを拒否。それを聞いたエージェントは、3日間の猶予を与えて立ち去る。余裕綽々のエージェントの態度を気にしたトニーは、手下のルッツとロブにインフェルノのバックについて調べるよう命令する。
昔気質のマフィアのボス登場という、クライム作品の定番中の定番話で始まった第5話。原作ゲーム(PC版、DVD-PG版、PS2版)や小説、コミックアンソロジーにもないアニメ完全オリジナルのエピソードだ。アニメオリジナル回があることは事前に聞いてはいたが、こんなに早くやるとは実に意外。舞台となったロサンゼルスは、インフェルノ幹部の一人・ワイズメルが束ねる「ブラディーズ」の縄張りで、今回のミッションはその地盤固めを狙ったものかもしれない。ところで、石頭だからストーンなのでしょうか?

廃工場
廃工場の中で体術の訓練をするアインとツブァイ。いくら暗殺者としての資質があるとは言え、戦闘スキルはアインの方がまだまだ上のようだ。そして、その様子を見ていた人物が一人。サイスの上司・クロウディアだ。クロウディアは「二つほど引き受けて欲しい任務がある」と言い、ツヴァィだけを自宅に連れて行く。
訓練シーンで、ツヴァイだけでなくアインにもファントム・エフェクトが掛かっていたけど、なして?あと、クロウディアが最初アインを見つめ、しばらく間を置いて視線を外していたが、これはクロウディアとアインの今後の関係を暗示するなかなか上手い演出だと思う。
クロウディア邸~二つの任務~
任務があるということでクロウディア邸に連れてこられたツヴァイ。二つの任務のうち一つはクロウディアの護衛役。そしてもう一つは、ある親子の監視だ。
クロウディアがツヴァイを自宅に招くシーンは原作ゲームにもあるが、それは第1章の中盤だ。シチュエーション的には他の仕事で出張っているリズィに代わり、ツヴァイがクロウディアを護衛するということで、これは一緒だけど。

ストーンファミリー
手下のルッツとロブがインフェルノのバックについて調査してきたが、様々な情報が錯綜してはっきりとしない。トニーの腹心・アントンは怒るが、トニーはその報告からインフェルノという組織がマフィアの連合体であることを見抜く。そして、インフェルノと全面対決する腹を決めるのであった。
ゲーム版でのインフェルノは、コロンビアの麻薬王・マグワイアが商品の販売先を確保するために立ち上げた組織という設定。そこにワイズメル等の力のあるマフィアが加わり、アメリカ西海岸で勢力を拡大。更に、様々な犯罪組織の若手幹部を取り込み、彼等が所属する組織のボスになれるよう、下克上の支援もしたりしている。つまりインフェルノは敵対組織を力でねじ伏せるというよりも、内部から取り崩していくというイメージが強い。一方、今回の話では敵対するマフィアに圧力を掛け、力づくで縄張りを奪おうとしており、ゲームには無かった描写だ。

クロウディア邸~ツヴァイの決断~
クロウディアから聞かされた二つ目の任務には続きがあり、状況次第によってはその親子を殺害することになるという。ツヴァイは命令であれば従うと答えるが、クロウディアは敢えてツヴァイの意志を確認。ツヴァイは自らの意志で任務の遂行を誓うのであった。人形ではなく、インフェルノの暗殺者として。
クロウディが「あなたは人形ではない」とか「聞かせて、ただ命令されるのではなく、あなたの返事を」と言っているが、原作ゲームにもあるツヴァイの懐柔を前倒しで行っているのでしょう。インフェルノ内で頭角を現してきたサイスに危機感を感じたクロウディアは、サイスの人形であるアインに対抗する手駒としてツヴァイに白羽の矢を立てたということです。このセリフは、洗脳ではなく自らの意志で任務をやり遂げる部下になりなさいという意味。 それを踏まえ、Aパート最終カットの一人で廃工場に残されているアインを見ると、アインの行く末を上手く暗示しているように思えます。
Bパート

監視任務
アインが再び萌えキャラ化。あまりやると有り難みが無くなる気がするけど、可愛いから許す。(*´Д`*)
遊園地に遊びに来ているトニー親子。彼等を監視することになったツヴァイは、偽装のため恋人役に仕立てたアインと一緒だ。
ツヴァイ「羊の群れにとけ込むには羊の皮を被る」
アイン「羊の皮を被っても狼の嗅覚は忘れない」
アイン先生の教えを守り、それを忠実に実践していくツヴァイ。しかし、デュークと偶然目を合わせた直後、ドリンクの容器を軽く握りつぶしていたが、まだ心に迷いがあるのだろうか・・・。そんなツヴァイを見つめるアインの視線が怖い。

インフェルノとの交渉
ストーンファミリー側が提示した会合の条件―「おまえらのボスを連れて来い」―を飲み、交渉の場に赴くことになったクロウディア。トニーに対してインフェルノへの恭順を要求するが、ストーンファミリー側に端っから話し合う意志は無かったようで交渉は決裂。その直後、突然ドアを開いて飛び込んできたトニーの手下が、短機関銃を掃射し、同席していたインフェルノのエージェントは死亡。クロウディアはリズィのガードで、何とか難を逃れる。
多勢に無勢となったクロウディアであったが、これも予定通りだったようだ。窓の外から飛び込んできた銃弾が、トニーの手下を次々と射殺。ストーンファミリーの反撃を予想していたクロウディアは、近隣のビルにスナイパーのアインを配置していたのだ。こうして、その場にいたストーンファミリーは、トニーとアントンを残して壊滅状態。更に、インフェルノへ牙を向けたことで、その報復の矛先はトニーの本当のファミリーへ・・・。
クロウディアはインフェルノ幹部であるのにも拘わらず、こういった雑用的な仕事が非常に多くなっている。これは、彼女が自前の組織を持たないことに由来する。実はかつてインフェルノに自分のファミリーを壊滅させられた(ネタバレ反転)という過去があるのだが、彼女がこの世界で高い地位を保っていくためには、こういった雑務をこなしていくしかないのだろう。

クロウディアからの連絡で種割れモードになったツヴァイが、トニーの妻・エバと息子・デュークを射殺。エバを撃った後、デュークを撃つまで少し間があったが、鏡に映った自分の姿(見知らぬ自分)を見て驚いたのかもしれない。
原作ゲームにはツヴァイが無抵抗の女子供を手に掛ける描写は無いので、インフェルノという組織の非情性を補完するには打って付けのエピソードですな。それはそうと、ボスの家族の命を狙うという話は、黒田洋介さんがシリーズ構成・脚本を担当していた「ガングレイヴ」第17話を彷彿するなぁ。

任務を終えクロウディア邸に帰還したツヴァイ。女子供を手に掛けたことが影響してか、目を見ると種割れモードのままだ。一方、アインはノルマンディ通りのアジトに戻っていた。まだ還って来ないツヴァイを気に掛けているようだが・・・。
ラストシーンの抱擁描写は、原作同様、ツヴァイがクロウディアの用心棒 兼 愛人の道を歩み出したってところでしょうか。今回に限らず、アニメのクロウディアはゲーム以上に存在感があり、正ヒロインのアイン危うし!
ED&次回予告

EDテロップから
第5話の脚本を書かれた白根秀樹さんは「灼眼のシャナ」や「女子高生 GIRL'S-HIGH」」等、どちらかというと萌え系アニメの人という印象が強いが、ファントムらじおを聴いたらDVD-PG版「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」のシナリオライター(PC版から移植する際のリライト担当)の一人だったらしい。

次回予告
予告映像を見る限り、来週もアニメオリジナルっぽい。たぶん今回の続編。ファントムブログを見たら、ゲーム原作者の虚淵玄さんシナリオ回だとか。これは期待せずにはいられない。
銃器チェック
今回登場した銃器を適当に鑑定してみました。何かお気付きの点がありましたら、コメントください。
アインのライフル

アインの対人ライフル
アインのライフルは、全体のシルエットとスコープの形状からレミントンM700か?(蛇足だけど、レミントンM24は米陸軍向けのM700発展型)
アントンのオート

アントンの自動拳銃
アントン(トニーの腹心の部下)が使っていた自動拳銃は、作画の影響で今回一番分かりにくかった。スライドとフレームのサイドカットが微妙に違っているが、全体的なシルエットはFN ブローニング・ハイパワーに似ている。斜めに刻まれたセレイション(滑り止めの溝)の後部に○がある等の特徴により、S&W M59(M39の第三世代)のウッドグリップ付き。
トニーの手下のSMG①

トニーの手下の短機関銃
リズィの大型オート

リズィの大型自動拳銃
リズィの自動拳銃は、原作と同じAMT HARDBALLER LONG SLIDE(コルト・ガバメントのクローン)
廃工場シーンのオート

廃工場シーンの自動拳銃
廃工場での訓練シーンに出て来た大型自動拳銃はLAR Grizzly Win Mag(これもコルト・ガバメントのクローン)と思われ。
ルッツのオート

ルッツの自動拳銃
トニーの手下の一人・ルッツの自動拳銃は、そのシンプルな形状からグロックのどれか。
トニーの手下のSMG②

トニー手下の短機関銃
トニー邸を警備している手下の短機関銃は、ステアーTMPのフォアグリップ無しモデルか?
ツヴァイのサイレンサー付きオート

ツヴァイのサイレンサー付き自動拳銃
ツヴァイが使っていた自動拳銃(サイレンサー付き)は、トリガーガード、トリガー、スライド・ストップ、グリップの形状を見るとH&K USPに見えるが、全体のシルエットを見ると微妙に違うような・・・。
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関連サイト
■ ニトロプラス10周年記念 ファントムプロジェクト「ファントム」 (TVアニメ公式)■ Phantom~Requiem for the Phantom~ (TV東京・あにてれ)
■ 月刊コミックアライブ オフィシャルサイト (メディアファクトリー公式)
■ ファントムシリーズ (ニトロプラス公式)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (DVD VIDEO GAME公式/デジターボ)
■ ファントム-PHANTOM OF INFERNO- (PS2版公式/プリンセスソフト)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (Wikipedia)
■ ファントム -PHANTOM OF INFERNO- シリーズ 銃火器データベース (MEDIAGUN DATABASE)
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