[マンガ感想] ファントム・コミックアンソロジー (角川ドラゴンコミックス)
2001年9月1日に角川書店から発売されたファントム・コミックアンソロジーの感想です。約8年前に購入したコミックスですが、ほとんど内容を忘れていたので読み返してみました。
表紙(帯付き)
マンガや原作ゲームの内容に触れています。ゲームのネタバレになる記述もあるので、ご注意ください。
概要
表紙イラストは矢野口君先生(原作ゲームのキャラクター・デザイン)の描き下ろし。裏表紙はゲーム中のCGです。
![]() 表紙(帯なし) |
![]() 裏表紙(帯なし) |
巻頭カラー(口絵)はマンガ執筆陣による描き下ろしカラーイラストで、目次も兼ねています。ドライとキャルが一緒に描かれているイラストは完全にネタバレですねw
![]() 巻頭カラー/矢野口君(P.1) |
![]() 同/永野あかね(P.5) |
収録されているマンガは下表のとおり全5本です。漫画家さんは「作画」担当となっているので、シナリオを書かれたのは原作者の虚淵玄さんと思われます。
No. | タイトル | 作画(敬称略) | 掲載頁 |
1 | 第I章 [Ein]~記憶~ | 沖一 | 9~49 |
2 | (挿絵・アイン) | 矢野口君 | 50 |
3 | 第II章 [Cal→Drei]~衝動~ | 永野あかね | 51~90 |
4 | 第III章 [Mio]~勇気~ | 松原あきら | 91~114 |
5 | 第IV章 [Clou]~悪女~ | 小河原亮 | 115~160 |
6 | 第V章 [Ein+]~名前~ | 矢野口君 | 161~164 |
各話紹介&感想
この本はコミックアンソロジーと銘打たれていますが、アンソロジー本にありがちなパロディやギャグマンガは皆無です。内容は原作ゲームのコミカライズと、ゲームでは描かれていなかったサイドストーリーが中心となっていて、ゲームをプレイした人には読み応えありかと。個人的には、ゲーム第2章と第3章の間にあった出来事を描いた「第II章 [Cal→Drei]~衝動~」が最高に面白かったですね。
① 第I章 [Ein]~記憶~/沖一
![]() 扉絵(P.11) |
![]() オートマグを託されるアイン(P.40) |
ゲームの第1章をコミカライズした作品ですが、ツヴァイ視点ではなくアイン視点で描かれています。内容的には、ツヴァイとの出会いに始まり、サイスの裏切り、インフェルノからの逃亡、ツヴァイとの対決といった流れで、一部端折られていますがゲーム準拠です。最初のページが、いきなりゲームのハッピーエンド(PS2版でいうところの「蒼穹の道を」)になっているのはご愛敬w
作画担当はガンダムパイロット列伝蒼穹の勇者達 (プラチナコミックス)[AA]の沖一先生。矢野口君さんのクール可愛い絵とは異なり、荒削りで骨太な絵柄ですが、殺伐とした「ファントム」の世界にはけっこう合っていますね。
② 第II章 [Cal→Drei]~衝動~/永野あかね
![]() 扉絵(P.53) |
![]() キャルとフィーアの格闘訓練(P.63) |
前述したとおり、ゲーム第2章と第3章の間にあった出来事を描いた作品です。主人公はキャルで、ツヴァイに捨てられたと思い(実際はそうではないけど)、失意のどん底にある彼女が、いかにしてドライ・ファントムになったかを描いたものです。ドライ好きに自分にとって、この本の中では一番読み応えがありました。
意外だったのは、キャルの過去話にツァーレンシュヴェスタン(Zahlen Schwester/通称「数字姉妹」または「数字ねーちゃんズ」)のフィーア(Vier)が登場している件。フィーアはいわゆる量産型ファントムの一人なのですが、こんなに幼い時から飼い慣らしていたとは、さすが変態紳士のサイス=マスターですな。
サイスの変態っぷりはフィーアだけではありません。やる気の出ないキャルを目覚めさせるため、何とキャルに客をとらせやがります。しかもその客というのが対立組織の幹部で、ホテルの一室でキャルに襲いかかるわけですよ。しかし、寸前のところでフィーアが狙撃して射殺。キャルはロリペドオヤジの餌食にならずに済んだのですが、その直後、銃声を聞きつけた手下に取り囲まれてしまいます。窮地に陥ったキャルは、ハンドガン(後に愛銃となるS&W M5906)をロリペドオヤジの懐から取り出し、手下どもを片っ端から射殺。ようやく暗殺者としての資質を開花させるという展開です。例の懐中時計を使ったタイマン勝負も、この時から始まったようです。
作画担当は永野あかね先生。以前、アームズマガジンで「TAC98」というミリタリーコミックを連載されていたので、ご存じの方も多いことと思います。
なお、このストーリーは2002年に刊行されたファントム―ツヴァイ (角川スニーカー文庫)[AA]でも描かれています。
③ 第III章 [Mio]~勇気~/松原あきら
![]() 扉絵(P.92) |
![]() 教室で/右端はアイン(P.96) |
3本目はゲーム第3章(いわゆる日本編)の序盤をコミカライズしたもの。藤枝美緒の視点で描かれていて、一部サイドストーリー的な要素もあります。ゲーム第3章に関しては、コミックアライブでもマンガ化されているので、この作品と併せて読むと美緒の心情がよく分かるかも。
マンガを描かれた松原あきら先生について調べてみましたが、DARK QUEEN [ダーク・クイーン] (1) 「HXL ヒーロークロスライン」010(マガジンZKC)[AA]という作品以外はよく分かりませんでした。(参考:Yahoo!コミック 「DARK QUEEN」)
④ 第IV章 [Clou]~悪女~/小河原亮
![]() 扉絵(P.117) |
![]() クロウディアの裏切り(P.119) |
ゲームのクロウディア・ルートをコミカライズした作品です。インフェルノに反旗を翻したクロウディアとツヴァイの立ち回りを中心に、クロウディアの過去話(弟のこと)や心の闇を描いています。ラストはゲーム同様、クロウディアとツヴァイの一騎打ちとなりますが、PS2版でいうところの「丘の上から」エンド(クロウディア死亡)なのか「高い城の女」エンド(ツヴァイ死亡)なのかは、読者任せといった感じです。
作画担当は小河原亮先生。ドラゴンマガジンで「双界連歌」や六門秘伝モンスター・コレクション―忘泉の探求者 (1) (ドラゴンコミックス)[AA]というマンガ作品を連載されていたそうですが、プロフィール等についてはよく分かりませんでした。
⑤ 第V章 [Ein+]~名前~/矢野口君

扉絵(P.161)
最後はキャラクターデザインの矢野口君先生の作品。全部で4ページしかなく、内容もイメージシーンが多くなっていますが、矢野口先生のマンガはかなり貴重です。自分の知る限り、単行本に収録されたマンガはこれ以外には無かった筈。
最後に、この本の在庫状況など。残念ながら角川公式サイトを見ると「品切れ 重版未定」となっています。新品で入手するのは困難かもしれませんが、アマゾンのマーケットプレイスファントム・コミックアンソロジー (ドラゴンコミックス)[AA]で中古が何冊か出品されているようです。(2009年4月28日現在)
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関連サイト
■ ファントム・コミックアンソロジー (角川グループパブリッシング)■ ニトロプラス10周年記念 ファントムプロジェクト「ファントム」 (TVアニメ公式)
■ Phantom~Requiem for the Phantom~ (TV東京・あにてれ)
■ 月刊コミックアライブ オフィシャルサイト (メディアファクトリー公式)
■ ファントムシリーズ (ニトロプラス公式)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (DVD VIDEO GAME公式/デジターボ)
■ ファントム-PHANTOM OF INFERNO- (PS2版公式/プリンセスソフト)
■ Phantom -PHANTOM OF INFERNO- (Wikipedia)
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