[マンガ感想] つぼみ vol.1 (芳文社 まんがタイムKRコミックス GLシリーズ)
2009年02月19日 公開
2月12日に芳文社から発売された百合アンソロジーコミックス「つぼみ vol.1」の感想です。

表紙(帯付き)
収録作品、作家陣は下表のとおり。残念ながら、表紙イラストを描かれた玄鉄絢先生の作品は載っていません。次号(vol.2)には掲載されるみたいですが。

表紙をめくった途端、いきなりガチ百合シーンです。ソフト路線のアンソロジー本だと思っていたのでビックリしましたよ。さすがガールズラブの大御所、森永みるく先生。内容は女子高の料理部を舞台にした、後輩×先輩のコメディ作品。男ウケを狙って料理部に入ったギャル系の後輩が百合に目覚め、自分のセクシャリティーを確認するため、先輩にキスをせがむ・・・といったお話。しかも、キスだけでは確認できず、先輩の首筋に舌を這わすわ、上着を脱がすわ、更にショーツにまで手を伸ばすわで、やりたい放題。この話が続くのかどうか分かりませんが、寸止めを食らった気分なので、是非続きが読みたいですね。

「朝霧の巫女」で有名な宇河弘樹先生の作品です。舞台は戦後間もなくの頃のどこかの地方。物語は主人公の少女・エリが、亡くなった母の実家に引き取られるところから始まります。エリが母の実家に着くと、親戚一同が集まり父の後妻を決める話し合いをしている最中でした。エリは口を挟むことなく、その議論を見守っていましたが、ほどなく後妻となる女性が決定。この地方では「コブリアワセ」という風習があり、死んだ伴侶の後を妹や弟が引き継ぐということで、新しい母親に選ばれたのは母の妹(叔母)にあたる女性でした。亡くなった母親の面影を残すその女性を見て、エリは驚き、戸惑い、多少反発しますが、この状況を受け入れていくことに。ところが、この家には猫を抱いた白い幽霊が出るという噂があり・・・というお話。
百合マンガというよりも伝奇マンガの趣が強い作品です。「上編」ということなので続きがあるのは確実で、次回以降はエリと新しい母親(叔母)の禁断の百合関係が主軸になるものと思われます。多分w

バス停に佇む儚げな少女と、主人公・唯(高校1年)の交流を描くお話。バス通学をしている唯は、二日前からバス停に佇む少女・織江を見かけるようになり、不思議に思って理由を尋ねると、「三年前に引き裂かれた想い人を待っている」という。その日以来、二人は仲良しになり、バスが来るまでの短い時間、お喋りをして過ごすことに。そんなある日、唯は中学時代に引っ越していった親友・映里のことを思い出します。唯が映里と別れたのは、奇しくも3年前のこのバス停。織江に当時の映里のイメージを重ねた唯は、そのことを織江に話しますが、その際口にした一言で織江を怒らせてしまいます。自分の前を走り去っていく織江を見て、唯は自己嫌悪に陥りますが、翌日のバス停で意外な事実を知ることに・・・というお話。
巻末にある作家コメントを読むと、久遠先生が百合マンガを描くのはこれが初めてだとか。途中から展開が読めてしまいましたが、なかなかハートウォーミングな良作です。

揉乳百合マンガキタ━━゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜━━ ッ !
陸上部に所属しているこずえは稀に見る爆乳の持ち主。そして陸上部のマネージャーでクラスメイトのエリナに、その爆乳を揉乳される毎日です。こずえはスポブラを愛用していて、エリナにとっては最高の揉み心地らしい。そんなわけでエリナは「ずっとスポブラのままでいてね!!」とこずえにお願い。
一方、こずえも、エリナが幸せそうにモミモミする姿を見るのが嬉しく、スポブラのままでいようと思いましたが、ここで邪魔者が出現。陸上部顧問の女性教師が「ワイヤーつきのブラをなさい!!」と指導。このままスポブラで陸上競技運動を続けると、将来、乳が垂れると言います。更に、スポブラでは揺れる乳を押さえつけられず、その影響でタイムも伸び悩んでいると警告。そしてたたみ掛けるように、次の休日にワイヤーつきのブラを購入するよう命令します。
仕方なく教師に従うことになったこずえは、「せめて休日まで残りの日、思う存分、もみまくっていいよ…!」とエリナに言いますが、エリナはそれを拒否。「これ以上刺激を与えると垂れちゃう!!」と叫び、乳断ちを宣言。それ以来、こずえを避けるよになってしまいました。エリナが自分から離れていくことに衝撃を受けたこずえは、陸上部を退部することを決意。早速、女性教師のもとを訪れますが、何とそこで、女性教師の乳を揉乳するエリカの姿を目撃してしまい・・・というお話。全編に渡って流れるゆるゆるでバカっぽいノリと、ぷにっとしたキャラの絵が妙にマッチした、最高に萌える百合マンガですね。個人的には、本書の中でイチオシの作品です。

有名会社の地方都市の営業所に勤めるOLの布袋(ホテイちゃん)と、本社から転勤してきた同い年で元・総合職の恵比寿真代(エビちゃん)の交流を描くお話。エビちゃんは転勤して来るなり、付き合いが悪い、残業をしないといった悪評が立ちます。実は、その一端を担いだのがホテイちゃんで、以前本社に行った時に注意されたことを逆恨みし、悪い噂を流していたのです。その結果、エビちゃんはOLたちから意地悪されることになりますが、仕事は定時内でキッチリとこなし、終業時間の午後5時になると即行で帰ることに変わりはありませんでした。不思議に思ったホテイちゃんは、エビちゃんの後をつけ、彼女がある場所に立ち寄る姿を目撃します。エビちゃんの意外な一面を知ったホテイちゃんは、彼女のことを更に意識することになりますが・・・というお話。クールビューティーなエビちゃんと、彼女のことが気になって仕方ないホテイちゃん。これは良いツンデレ百合マンガですね。

この作品も女子高の陸上部が舞台で、主人公はマネージャーのユキ。ある日、ユキのもとを中学時代の同級生・トウコが訪れ、別れの挨拶を告げました。この二人は中学の陸上部でジャンプ競技の選手をしていましたが、ユキがトウコに怪我をさせてしまい、それ以来、疎遠になっていたのです。そのため、ユキは高校に入学しても、陸上競技の選手にはならず、マネージャーの道を選んでいました。そんなユキのもとを突然トウコが訪れたことで、ユキの止まっていた時間が動き出す・・・というお話。かなりベタな内容ですが、爽やかなストーリーと作画が読後の清涼感を一層引き立たせていますね。

「ウミショー」でお馴染みの、はっとりみつる先生の短編作品。センターカラーですが、全部で5ページしかありません。内容も海岸でじゃれあう二人の女の子を淡々と描いたもので、ストーリーらしいストーリーはありません。今回はスケジュールの都合でページ数が少なくなってしまったそうですが、「ウミショー」の後期にあった百合っぽいマンガをいつの日かまた読みたいですね。

このアンソロジー本の中では特に毛色の変わった寓話的テイストの作品。鳩居庵という古道具屋の留守を預かることになった鳩子の奇妙な一日(?)を淡々と描いています。百合マンガかと問われると微妙ですが、店主の真魚(まな)さんから送られてきた手紙を読み、留守番の新たな決意をする鳩子が可愛く描かれていますね。「第一日目・鳩子と真魚さん」というサブタイトルが付いているので、次号以降に続くのかな?

女子高を舞台にしたガールズラブ作品ですが、主人公は保健医のもなよ先生。ある日、生徒から「同じクラスの女の子を好きになってしまった」と相談を受けたもなよ先生は、自分の学生時代の体験談を聞かせるという話です。もなよは小学時代の初恋の相手が女の子で、中学では女性教師に恋をし、女子高では先輩から告白されるという、豊富な百合経験の持ち主。ストーリーの中心は女子高時代のものですが、先輩とのラブラブな関係ではなく、クラスメイトとガチ百合行為に至るまでの流れを描いています。ほんわかした絵柄なのに、百合分はかなり濃いですね。

大学生の和佳と桃香の交流を描いた作品。彼氏とのノロケ話(初お泊まり)を話す桃香に対して、和佳は表面的にはお祝いを述べるものの、内心は複雑な心境。そして、和佳の桃香に対する想いが、タバコの銘柄に絡めてモノローグで語られる・・・というお話。和佳が愛飲しているタバコは作品タイトルにもなっています。

吉田美紀子先生の作品は3本掲載されていて、これがその1本目。潔癖性のまどかは、他人と一緒に温泉やプールに入ったり、ジュースのまわし飲みとかが大の苦手。親友のくーちゃんは、そんなまどかを何とかしようと決意し、自分が舐めたアイスをまどかに差し出し・・・というお話。文章で書くと生々しく感じますが、ぷに系の少女マンガキャラなので、微笑ましく読むことが出来ました。

次のマンガも吉田美紀子先生の作品。人様の家になっているトマトを囓ろうとした少女と、その家の孫娘のやりとりを描いた作品。孫娘が泥棒少女を咎めると、離ればなれになった父親に会うため、自転車を借りたり(対価は身体!?)、歩いたりして桶川から大阪に向かっている途中だと言う。そして、空腹に耐えきれなくなり、目に入ったトマトをつい・・・とのこと。それを聞いた孫娘は、トマトの対価として泥棒少女の乳を揉乳したり、傷の治療やシャワーの対価も要求して・・・というお話。1本目の作品に比べて、ガチ百合度がアップしています。ハァハァ(;´Д`)

吉田美紀子先生の3本目。この作品もちょっと毛色が変わっていて、いきなり寓話的な描写から始まります。主人公の少女・さつきには周囲の人間がカエルやザリガニに見えるらしく、その原因になったのがセンカワ君とのエッチらしい。エッチの影響で男嫌いになり(?)、気が付けば魚類の世界に迷い込んでいたさつき。本人はこの状況を冷静に受けとめていて、意外と屈託がない様子。そして、偶然再会した中学時代の同級生だけは、なぜか普通の人間の姿に見えて・・・というお話。ガチ百合は少女を救う!

二学期という中途半端な時期に美術部に入部した少女・さくら。入部した理由は、絵画コンクールで1位になった絵に憧れ、更にその作者の夜羽の絵を描く姿に心がざわざわしてというものらしい。美術部入部後、さくらは夜羽にアプローチして仲良しになり、夜羽から絵の描き方のアドバイスを受けることに。その後も二人の親密度は増していったが、冬季の絵画コンクールでさくらが入賞し、夜羽が落選したことで、二人の間に微妙な空気が流れ出し・・・というお話。この作品は「ハートで描く」という夜羽の言葉がキーワードになっていて、夜羽に対する想いを絵にしたさくらと、さくらとの出会いで創作の原点が変化してしまった夜羽の対比はベタな展開ですが、最後はハッピーエンドで何よりです。

マーサの飼い猫・イチゴが行方不明になり、しばらくたったある日。突然、ネコミミ少女が現れ、自分のことをイチゴと名乗り・・・というお話。みなさんがご想像している通りの展開ですが、百合マンガというよりもネコマンガとして読むとかなり萌え~な内容。ネコ好きな方にはオススメな作品ですね。(=^..^=)ミャー

主人公・千晶が病院で治療を受け帰ろうとしたところ、玄関に自分の靴が片一方しかない。その隣には左足用のパンプスがあり、誰かが靴を片方だけ履き間違えて行ってしまったらしい。困った千晶は病院の掲示板に貼り紙をし、片靴間違えの靴子さん(仮)を探すことになりましたが、靴子さんの人物像をあれこれ想像しているうちに、まだ見ぬ彼女に対する想いが高まっていき・・・というお話。最後まで読ませるストーリー展開が秀逸だと思います。そして、靴子さんは想像以上の美少女でした。(*´Д`*)

本書の取りをとるのは、吉富昭仁先生のロリ系百合作品。遥&桜、芳子&舞の2姉妹(共に14歳と12歳)が織りなす四角関係(下図参照)を描いたものです。

妹同士で風呂に入り、その様子を二人の姉が覗いたりして、一歩間違うとガチ百合エロマンガになりそうな雰囲気が漂っています。(*゚∀゚)=3

巻末に掲載されている次号予告によると、「つぼみ vol.2」は2009年5月発売予定。作家陣は、玄鉄絢(カバーイラストも担当)、天乃タカ、宇河弘樹、裏次郎、大朋めがね、小川ひだり、きづきあきら+サトウナンキ、関谷あさみ、ナヲコ、水谷フーカ、宮内由香、森永みるく、吉富昭仁(以上、五十音順、敬称略)とのことです。
■ 本日の萌える逸品 コミック百合姫S VOL.1

表紙(帯付き)
概要
カバーイラストは玄鉄絢先生により描き下ろしイラストで、表紙タイトルの下や背には*あまくてやさしい、百合アンソロジー*そして帯には
女の子×女の子
という百合百合したキャッチコピーが満載です。(*´Д`*)わたし と あのこ が であったら…?
少女+少女=恋…?
しっかりたっぷり306頁
まるごと、おんなのこ
ALL読み切り
収録作品、作家陣は下表のとおり。残念ながら、表紙イラストを描かれた玄鉄絢先生の作品は載っていません。次号(vol.2)には掲載されるみたいですが。
内容/タイトル | 作者(敬称略) | 掲載ページ |
目次 | 002 | |
ひみつのレシピ | 森永みるく | 003 |
コブリアワセ 上編 | 宇河弘樹 | 011 |
for Roses | 久遠あき | 035 |
むねがいっぱい♥ | 小川ひだり | 063 |
エビスさんとホテイさん | きづきあきら+サトウナンキ | 087 |
ランナーズハイ | きぎたつみ | 119 |
LOVE FOOL | はっとりみつる | 145 |
鳩居的懐古録 | 釣巻和 | 151 |
ついでのはなし。 | 大朋めがね | 171 |
キャメル | 宮内由香 | 203 |
シャーベット | 吉田美紀子 | 215 |
なんで、もっと | 224 | |
SEASON | 231 | |
こころスケッチ | 星逢ひろ | 239 |
イチゴ日和 | 泉結基 | 255 |
この靴しりませんか? | 水谷フーカ | 271 |
しまいずむ | 吉富昭仁 | 295 |
次号予告 | 303 | |
作家コメント | 304 |
掲載作品の感想
以下、個人的な感想です。作品の内容に触れていますので、ご注意ください。「ひみつのレシピ」 森永みる

表紙をめくった途端、いきなりガチ百合シーンです。ソフト路線のアンソロジー本だと思っていたのでビックリしましたよ。さすがガールズラブの大御所、森永みるく先生。内容は女子高の料理部を舞台にした、後輩×先輩のコメディ作品。男ウケを狙って料理部に入ったギャル系の後輩が百合に目覚め、自分のセクシャリティーを確認するため、先輩にキスをせがむ・・・といったお話。しかも、キスだけでは確認できず、先輩の首筋に舌を這わすわ、上着を脱がすわ、更にショーツにまで手を伸ばすわで、やりたい放題。この話が続くのかどうか分かりませんが、寸止めを食らった気分なので、是非続きが読みたいですね。
「コブリアワセ 上編」 宇河弘樹<

「朝霧の巫女」で有名な宇河弘樹先生の作品です。舞台は戦後間もなくの頃のどこかの地方。物語は主人公の少女・エリが、亡くなった母の実家に引き取られるところから始まります。エリが母の実家に着くと、親戚一同が集まり父の後妻を決める話し合いをしている最中でした。エリは口を挟むことなく、その議論を見守っていましたが、ほどなく後妻となる女性が決定。この地方では「コブリアワセ」という風習があり、死んだ伴侶の後を妹や弟が引き継ぐということで、新しい母親に選ばれたのは母の妹(叔母)にあたる女性でした。亡くなった母親の面影を残すその女性を見て、エリは驚き、戸惑い、多少反発しますが、この状況を受け入れていくことに。ところが、この家には猫を抱いた白い幽霊が出るという噂があり・・・というお話。
百合マンガというよりも伝奇マンガの趣が強い作品です。「上編」ということなので続きがあるのは確実で、次回以降はエリと新しい母親(叔母)の禁断の百合関係が主軸になるものと思われます。多分w
「for Roses」 久遠あき

バス停に佇む儚げな少女と、主人公・唯(高校1年)の交流を描くお話。バス通学をしている唯は、二日前からバス停に佇む少女・織江を見かけるようになり、不思議に思って理由を尋ねると、「三年前に引き裂かれた想い人を待っている」という。その日以来、二人は仲良しになり、バスが来るまでの短い時間、お喋りをして過ごすことに。そんなある日、唯は中学時代に引っ越していった親友・映里のことを思い出します。唯が映里と別れたのは、奇しくも3年前のこのバス停。織江に当時の映里のイメージを重ねた唯は、そのことを織江に話しますが、その際口にした一言で織江を怒らせてしまいます。自分の前を走り去っていく織江を見て、唯は自己嫌悪に陥りますが、翌日のバス停で意外な事実を知ることに・・・というお話。
巻末にある作家コメントを読むと、久遠先生が百合マンガを描くのはこれが初めてだとか。途中から展開が読めてしまいましたが、なかなかハートウォーミングな良作です。
「むねがいっぱい♥」 小川ひだり

揉乳百合マンガキタ━━゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜━━ ッ !
陸上部に所属しているこずえは稀に見る爆乳の持ち主。そして陸上部のマネージャーでクラスメイトのエリナに、その爆乳を揉乳される毎日です。こずえはスポブラを愛用していて、エリナにとっては最高の揉み心地らしい。そんなわけでエリナは「ずっとスポブラのままでいてね!!」とこずえにお願い。
一方、こずえも、エリナが幸せそうにモミモミする姿を見るのが嬉しく、スポブラのままでいようと思いましたが、ここで邪魔者が出現。陸上部顧問の女性教師が「ワイヤーつきのブラをなさい!!」と指導。このままスポブラで陸上競技運動を続けると、将来、乳が垂れると言います。更に、スポブラでは揺れる乳を押さえつけられず、その影響でタイムも伸び悩んでいると警告。そしてたたみ掛けるように、次の休日にワイヤーつきのブラを購入するよう命令します。
仕方なく教師に従うことになったこずえは、「せめて休日まで残りの日、思う存分、もみまくっていいよ…!」とエリナに言いますが、エリナはそれを拒否。「これ以上刺激を与えると垂れちゃう!!」と叫び、乳断ちを宣言。それ以来、こずえを避けるよになってしまいました。エリナが自分から離れていくことに衝撃を受けたこずえは、陸上部を退部することを決意。早速、女性教師のもとを訪れますが、何とそこで、女性教師の乳を揉乳するエリカの姿を目撃してしまい・・・というお話。全編に渡って流れるゆるゆるでバカっぽいノリと、ぷにっとしたキャラの絵が妙にマッチした、最高に萌える百合マンガですね。個人的には、本書の中でイチオシの作品です。
「エビスさんとホテイさん」 きづきあきら+サトウナンキ

有名会社の地方都市の営業所に勤めるOLの布袋(ホテイちゃん)と、本社から転勤してきた同い年で元・総合職の恵比寿真代(エビちゃん)の交流を描くお話。エビちゃんは転勤して来るなり、付き合いが悪い、残業をしないといった悪評が立ちます。実は、その一端を担いだのがホテイちゃんで、以前本社に行った時に注意されたことを逆恨みし、悪い噂を流していたのです。その結果、エビちゃんはOLたちから意地悪されることになりますが、仕事は定時内でキッチリとこなし、終業時間の午後5時になると即行で帰ることに変わりはありませんでした。不思議に思ったホテイちゃんは、エビちゃんの後をつけ、彼女がある場所に立ち寄る姿を目撃します。エビちゃんの意外な一面を知ったホテイちゃんは、彼女のことを更に意識することになりますが・・・というお話。クールビューティーなエビちゃんと、彼女のことが気になって仕方ないホテイちゃん。これは良いツンデレ百合マンガですね。
「ランナーズハイ」 きぎたつみ

この作品も女子高の陸上部が舞台で、主人公はマネージャーのユキ。ある日、ユキのもとを中学時代の同級生・トウコが訪れ、別れの挨拶を告げました。この二人は中学の陸上部でジャンプ競技の選手をしていましたが、ユキがトウコに怪我をさせてしまい、それ以来、疎遠になっていたのです。そのため、ユキは高校に入学しても、陸上競技の選手にはならず、マネージャーの道を選んでいました。そんなユキのもとを突然トウコが訪れたことで、ユキの止まっていた時間が動き出す・・・というお話。かなりベタな内容ですが、爽やかなストーリーと作画が読後の清涼感を一層引き立たせていますね。
「LOVE FOOL」 はっとりみつる

「ウミショー」でお馴染みの、はっとりみつる先生の短編作品。センターカラーですが、全部で5ページしかありません。内容も海岸でじゃれあう二人の女の子を淡々と描いたもので、ストーリーらしいストーリーはありません。今回はスケジュールの都合でページ数が少なくなってしまったそうですが、「ウミショー」の後期にあった百合っぽいマンガをいつの日かまた読みたいですね。
「鳩居的懐古録」 釣巻和

このアンソロジー本の中では特に毛色の変わった寓話的テイストの作品。鳩居庵という古道具屋の留守を預かることになった鳩子の奇妙な一日(?)を淡々と描いています。百合マンガかと問われると微妙ですが、店主の真魚(まな)さんから送られてきた手紙を読み、留守番の新たな決意をする鳩子が可愛く描かれていますね。「第一日目・鳩子と真魚さん」というサブタイトルが付いているので、次号以降に続くのかな?
「ついでのはなし。」 大朋めがね

女子高を舞台にしたガールズラブ作品ですが、主人公は保健医のもなよ先生。ある日、生徒から「同じクラスの女の子を好きになってしまった」と相談を受けたもなよ先生は、自分の学生時代の体験談を聞かせるという話です。もなよは小学時代の初恋の相手が女の子で、中学では女性教師に恋をし、女子高では先輩から告白されるという、豊富な百合経験の持ち主。ストーリーの中心は女子高時代のものですが、先輩とのラブラブな関係ではなく、クラスメイトとガチ百合行為に至るまでの流れを描いています。ほんわかした絵柄なのに、百合分はかなり濃いですね。
「キャメル」 宮内由香

大学生の和佳と桃香の交流を描いた作品。彼氏とのノロケ話(初お泊まり)を話す桃香に対して、和佳は表面的にはお祝いを述べるものの、内心は複雑な心境。そして、和佳の桃香に対する想いが、タバコの銘柄に絡めてモノローグで語られる・・・というお話。和佳が愛飲しているタバコは作品タイトルにもなっています。
「シャーベット」 吉田美紀子

吉田美紀子先生の作品は3本掲載されていて、これがその1本目。潔癖性のまどかは、他人と一緒に温泉やプールに入ったり、ジュースのまわし飲みとかが大の苦手。親友のくーちゃんは、そんなまどかを何とかしようと決意し、自分が舐めたアイスをまどかに差し出し・・・というお話。文章で書くと生々しく感じますが、ぷに系の少女マンガキャラなので、微笑ましく読むことが出来ました。
「なんで、もっと」 吉田美紀子

次のマンガも吉田美紀子先生の作品。人様の家になっているトマトを囓ろうとした少女と、その家の孫娘のやりとりを描いた作品。孫娘が泥棒少女を咎めると、離ればなれになった父親に会うため、自転車を借りたり(対価は身体!?)、歩いたりして桶川から大阪に向かっている途中だと言う。そして、空腹に耐えきれなくなり、目に入ったトマトをつい・・・とのこと。それを聞いた孫娘は、トマトの対価として泥棒少女の乳を揉乳したり、傷の治療やシャワーの対価も要求して・・・というお話。1本目の作品に比べて、ガチ百合度がアップしています。ハァハァ(;´Д`)
「SEASON」 吉田美紀子

吉田美紀子先生の3本目。この作品もちょっと毛色が変わっていて、いきなり寓話的な描写から始まります。主人公の少女・さつきには周囲の人間がカエルやザリガニに見えるらしく、その原因になったのがセンカワ君とのエッチらしい。エッチの影響で男嫌いになり(?)、気が付けば魚類の世界に迷い込んでいたさつき。本人はこの状況を冷静に受けとめていて、意外と屈託がない様子。そして、偶然再会した中学時代の同級生だけは、なぜか普通の人間の姿に見えて・・・というお話。ガチ百合は少女を救う!
「こころスケッチ」 星逢ひろ

二学期という中途半端な時期に美術部に入部した少女・さくら。入部した理由は、絵画コンクールで1位になった絵に憧れ、更にその作者の夜羽の絵を描く姿に心がざわざわしてというものらしい。美術部入部後、さくらは夜羽にアプローチして仲良しになり、夜羽から絵の描き方のアドバイスを受けることに。その後も二人の親密度は増していったが、冬季の絵画コンクールでさくらが入賞し、夜羽が落選したことで、二人の間に微妙な空気が流れ出し・・・というお話。この作品は「ハートで描く」という夜羽の言葉がキーワードになっていて、夜羽に対する想いを絵にしたさくらと、さくらとの出会いで創作の原点が変化してしまった夜羽の対比はベタな展開ですが、最後はハッピーエンドで何よりです。
「イチゴ日和」 泉結基

マーサの飼い猫・イチゴが行方不明になり、しばらくたったある日。突然、ネコミミ少女が現れ、自分のことをイチゴと名乗り・・・というお話。みなさんがご想像している通りの展開ですが、百合マンガというよりもネコマンガとして読むとかなり萌え~な内容。ネコ好きな方にはオススメな作品ですね。(=^..^=)ミャー
「この靴しりませんか?」 水谷フーカ

主人公・千晶が病院で治療を受け帰ろうとしたところ、玄関に自分の靴が片一方しかない。その隣には左足用のパンプスがあり、誰かが靴を片方だけ履き間違えて行ってしまったらしい。困った千晶は病院の掲示板に貼り紙をし、片靴間違えの靴子さん(仮)を探すことになりましたが、靴子さんの人物像をあれこれ想像しているうちに、まだ見ぬ彼女に対する想いが高まっていき・・・というお話。最後まで読ませるストーリー展開が秀逸だと思います。そして、靴子さんは想像以上の美少女でした。(*´Д`*)
「しまいずむ」 吉富昭仁

本書の取りをとるのは、吉富昭仁先生のロリ系百合作品。遥&桜、芳子&舞の2姉妹(共に14歳と12歳)が織りなす四角関係(下図参照)を描いたものです。

妹同士で風呂に入り、その様子を二人の姉が覗いたりして、一歩間違うとガチ百合エロマンガになりそうな雰囲気が漂っています。(*゚∀゚)=3
次号予告

巻末に掲載されている次号予告によると、「つぼみ vol.2」は2009年5月発売予定。作家陣は、玄鉄絢(カバーイラストも担当)、天乃タカ、宇河弘樹、裏次郎、大朋めがね、小川ひだり、きづきあきら+サトウナンキ、関谷あさみ、ナヲコ、水谷フーカ、宮内由香、森永みるく、吉富昭仁(以上、五十音順、敬称略)とのことです。
関連記事
■ [マンガ感想] 菊花の園 (つぼみvol.18)■ 本日の萌える逸品 コミック百合姫S VOL.1
関連サイト
■ 《まんがタイムKRコミックス》 つぼみ (1 巻) (芳文社)関連商品
スポンサーサイト